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【レビュー・あらすじ・感想】「おかえり」と言える、その日まで:中村富士美

 

 

「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場からのレビューです。

☞読書ポイント 

遭難と言えば冬山とかものすごく高い山で起こるものと思われがちだけど、意外にも身近な山で起きていることが本書を読むとわかる。登山を趣味にしている方はもちろん、そうでない方も一度目を通しておくことをおすすめ。

 

「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から

「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から

感想・あらすじ 

本書はラジオで知った1冊。なんでも新潮社の読者質問コーナー的なところに、新刊書でもないのに今でも一番書き込みが多いのだとか。新潮社の中瀬ゆかりさんは「なにかを書かずにはいられなくなるような一冊なんだと思う」と。ということで、とても気になり手にした次第です。

 

薄い本なのであっという間に読めてしまうのですが、やはり人の命に係わる内容なので、受け取るメッセージはずしりと重く、捜索の状況を知れば知るほど、その大変さがひしひしと感じられるのです。

 

 

 

山岳遭難というと、雪山の厳しい山々といったものを想像しがちですが、この本で行方不明になった方々が登った山は、埼玉県の奥秩父、秩父槍ヶ岳、神奈川県丹沢等々、身近なところで遭難しているケースが多いことにまず驚きました。そこでいくら探しても見つからないというのは一体.....となるのですが、やはり自然を軽く見てはいけませんねぇ。本当になにが起きるか解らない。そしてたとえ最善の準備をしたとしても、アクシデントは起こるものなんだと。

 

あと遭難すると捜索にもすごくお金がかかるので、途中で捜索を打ち切るなんてケースも多々あるでしょう。なので、登山する趣味のある方は保険は必ず入っておくこと、出かける時は必ず登山届や誰かに知らせておくなど、たとえ気軽に行けそうな山でもそういうことを怠ってはならない。

 

筆者の中村さんは山岳行方不明遭難者の捜索活動及び行方不明者の家族のサポートを行う民間の山岳遭難捜索チームLissの代表。捜索はもちろん、経験をもとに、きめ細やかな加行方不明者の家族のケアをされている。帰ってこない人を待ち続ける家族の様子は、本当に辛いシーンだった。居ても立ってもいられない家族が、一緒に捜索に加わりたいを願う気持ちも解からなくない。そこを冷静にサポートするプロたち。どちらも大変な時間を共に過ごしている。

そして何といっても捜索は推理といった感じであることも意外でありました。捜索に入る前に、本人の性格や職業、趣味、思考の癖を聞き取り、入念なプロファイリングで消えた足跡を追っていくのです。捜索しながらいろいろな想像力を巡らせながら推理していく。体力も頭もフル回転で挑んでいる様子が窺えます。

 

勉強になったのは、迷ったら下山するのではなく、上へ上へ登る。あと、青いものを身に着けていると発見されやすいみたいだ。確かに暗い色とか、自然にある色だと保護色っぽくなってしまいますものね。青はそういう意味で、目立つから、これをリュックの色に選ぶとか、着るものを青にするとか工夫したいものです。

 

行方不明者が最後に見たであろう風景の部分を読むと何とも悲しい気持ちになるのだけれど、それでも変わり果てた姿であろうと発見され、家族のもとに戻れたことに安堵する。

 

私は山登りの趣味もないのですが、こうした現場で働いている方々の存在を知れただけでもこの本を読んでよかったと思いました。

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この本を知るきっかけになったラジオ番組

matome.readingkbird.com