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【レビュー・あらすじ・感想】デモクラシーのいろは:森絵都

 

 

デモクラシーのいろは:森絵都著のレビューです。

☞読書ポイント 

「民主主義」ってなんだろう。我が国の民主主義のはじまりは女性たちにとって掴みどころがなく、学ぶことは大変難しかった。民主主義のはじめの一歩は教える側も学ぶ側も戸惑いがたくさんあった。しかしその小さな種が少しずつ育っていくような頼もしさも。GHQのいた日本の様子を覗いてみよう。

 

デモクラシーのいろは【電子版おまけ付き】 (角川書店単行本)

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感想・あらすじ 

タイトルと表紙だけでも心惹かれる1冊。森絵都さんの本は数冊しか読んだことがありませんが、今回森さんのイメージになかったジャンルの小説だな....と、こちらの方も興味がありました。

 

ということで戦後1940年代、GHQがいたころの日本を描いた話です。物語の軸になるのは「民主主義」を目指す日本人。なかでも本作でターゲットになったのは若い女性たち。彼女たちはGHQから「民主主義のレッスン」を受ける者として選ばれ、仁藤子爵夫人・鞠子の別邸で半年間生活を共にすることになった。

 

女性たち生い立ちも様々。元男爵令嬢美央子をはじめ、既婚者の吉乃、はすっぱなヤエ、静岡出身の孝子、メイドとだったクニ。吉乃は途中辞めてしまい、メイドのクニが新たに加わり4人はアメリカ育ちの日系二世リュウ・サクラギから教育を受けることに。とにかくバラバラな生い立ちを持つ彼女たちをまとめ、しかも民主主義とはなんぞや?という難しいレッスンをしなければならないサクラギのプレッシャーは大きい。

 

そして彼女たちの性格や年齢もまちまちということで授業も難航。そこに場所を提供した子爵婦人である鞠子の強烈なキャラクターが相まって、物語は思わぬ方向に動いて行く。

 

 

 

 

「民主主義って何?」って聞かれたら、いま生きる私たちだって明確に答えることができるか疑問である。選挙とか、平等とか、公平とか....。自分の中にある「民主主義」に明確な答えがない。ないものを学んでいく難しさは確かにあって、この物語はそのあたりをよく表現している。

 

彼女たちは学びながらたくさんの人と交流していくわけだが、クニが言った言葉が印象的だ。

 

今では当たり前のことも当時は感動するほどのことであったわけです。一方、そうそうすぐに民主主義が当時の日本に根付くものではないと、彼女たちは初めから冷静に客観視していたのだ。

 

特に後半、民主主義に興味がある学校の教員たちと交流する場面での男性教員が女性たちに浴びせた言葉が当時の日本人を象徴している。読んでいるこっちまで思わず身を乗り出して文句を言ってやりたいくらい憎らしい言葉の数々。そういうことが当たり前にあった時代に生きた女性たちのある種の諦めがひしひしと感じられました。

 

事件があったり、ちょっとしたもどかしいロマンスもあったりしながら、彼女たちなりに学びを得ていく。最終的には自分の道を自ら考えて決めていく姿、その成長ぶりには拍手をおくりたくなった。

 

この時代を描いた小説は結構多いわけだけど、今回の小説に関しては、とてもライトな感じがしました。エンタメ色が強く、当時の陰鬱な雰囲気を感じないとでも言おうか。私的にはちょっと物足りなさを感じたものの、女性たちが自由に羽ばたいていく様子は清々しく、最後まで楽しめた。(第七章の「罪と罰」はどうなのか?個人的にはなくてもいいかなと思った)ということで、600ページもありましたが、思ったよりあっという間に読めた意味では楽しめたのかなと思います。

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