変わり者たちの秘密基地 国立民族学博物館:ミンパクチャン著のレビューです。

☞読書ポイント
感想・あらすじ
ずっと気になっている大阪の国立民俗博物館。この本を読んでさらに行きたい気持ちが高まりました。いや、もう、国内では今一番行きたい場所かもしれません(笑)
日本のいち博物館にすぎないのに、なんでこんなにも気になるのか。あれはたしか、旧ツイッターで「ビーズバッグの貴重さ」を、この博物館の方が訴えていて、「家に眠っているビーズバッグは捨てずにミンパクに送って!」というツイートを見たのがきっかけでした。わたしはアンティークのビーズバッグが大好きで集めているのですが、それを博物館の方が声を大にしてその貴重さを言ってくれていることにとても驚いた.....と同時に、あの時博物館に集まってきたビーズバッグがどうなったのか、えらく気になっているからです。
あれからこの博物館の名称がやたら目に入るようになった。たまたま読んだ本に、民博の不思議話が登場したりで、ちょこちょことこの博物館はわたしにアピールをしてくる(笑)そんなこんなで、この本もたまたま新刊をリサーチしていたら目に飛び込んできた一冊。
いや~この博物館、本当にちょっと変わり種というか、博物館という枠を超えたものがありびっくりです。新たな発見は、ここは国の研究機関でもあり、たくさんの学者が館内で研究をしているということ。大学院と博物館が合体した感じなんです。「変わり者たちの秘密基地」とはよく言ったもので、本当にちょっと変わった学者たちが集まっている。
そして「広い広い」と聞いてはいたが、想像できていなかった。本書を読んでその広さに驚愕。常設展示場は1周すると歩行距離約5キロという。ここに1万2千点。生活用具やら、祭りの楽器や仮面なんかが展示されている。展示されていなものは収蔵庫に収められているそうだが、その数34万7千点。どんだけ~~ですよ。ちゃんと観たいなら、やはり2日間は必要とも。ちょっとした散策というか、とにかくスニーカーで行くべし、とのこと。
あと建物は黒川紀章さんデザインしたとか、膨大な資料や物をどう管理しているかなども非常に興味深い。外国から入って来るものが多い分、「虫」などの対策にも余念がない。本当に骨が折れる作業ですが、ここで働いている人々はたぶんきっとそういうことも含めて研究の一部として楽しんでいそうな雰囲気。
私たちがこの博物館に訪れ、他と違うとまず思うのは、展示資料に「触れる」ということ。他の博物館と方針が全く違う。もちろん「触ってはダメ」というものもあるらしいが、その他は「触ってはダメ」と書いていない。まぁ触ると言っても常識の範囲内でってことですが、このあたり、かなり大らかなんですよね。でも、実際はみんなあまり触れないそうです。ですよね~(笑)
ということで、働いている人、研究している人、展示物、余すとこなくおもしろいが詰まった博物館。読んでいるうちにますます魅力的に見えて来るじゃありませんか。

あーなんかいいですよね。昨今は買って、捨てて、またすぐ買ってってことが多いですが、こうして「引き継ぐ」ってことの大事さを改めて感じさせてもらいました。とにかく、一度訪れて、それらの「物」から、じっくり「民俗」やら「生活」などの息吹を感じてみたいと思いました。
感想は自分が知りたかった部分をざっくり書いてしまいましたが、本書でメインになっているのは、各学者のバックグラウンド(どうして民博に辿り着いたのか)や、エピソードがたくさん登場します。以下、登場した個性的な人々です。
◎樫永真佐夫教授:本書の案内人。ベトナムの黒タイ族
◎島村一平教授:モンゴルのシャーマン、ヒップホップ
◎広瀬浩二郎教授:触文化、日本の琵琶法師や瞽女
◎河西瑛里子助教:イギリスのペイガニズム、魔女
◎山中由里子教授:比較文学比較文化、驚異と怪異
◎川瀬慈教授:エチオピアの吟遊詩人
◎鈴木英明准教授:インド洋の奴隷や物の交易
◎末森薫准教授:保存科学、敦煌莫高窟
やはや、世の中にはいろんな研究をしている人々が居るなぁと。普通の生活では気づけない視点からのお話も数多くあり面白かったです。願わくば、ちょっとだけでも写真が欲しかったかな。
人も物もカオスな世界です。とにかく一度訪れたい!の気持ちいっぱいで本を閉じたのであります。
ミンパクチャンプロフィール
ルポライター 市井の国立民族学博物館ファン。(Amazonより)
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