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【感想・あらすじ・レビュー】いつも駅からだった:岩井圭也

 

 

いつも駅からだった:岩井圭也著のレビューです。

☞読書ポイント 

小説✕街歩き✕謎解きという企画であった短編集。これを読んでいると電車はいろんな人々の、いろんな想いを乗せて走っているんだなぁと感じます。そして困ったときにこんな駅員さんがいたら.....。黒ぶちメガネの駅員さんに注目です。

 

いつも駅からだった (祥伝社文庫)

いつも駅からだった (祥伝社文庫)

感想・あらすじ

京王線利用者なら、かなりリアルに情景が浮かんできて楽しめます。主な舞台となっている駅は下北沢、高尾山口、調布、府中、聖蹟桜ヶ丘。京王線は東京の私鉄沿線。新宿から八王子や高尾山など西に延びる沿線で、多摩川を超えたあたりから自然が広がり、少しだけ都会から脱出した気分なんかも味わえる。今回は下北沢の井の頭線を含め、各駅での物語が展開されています。

 

5編の短編集ですが、概ねストーリー展開にはパターンがあります。どの話も必ず謎解きという形で読者も登場人物たちと一緒になって謎を解いていくという感覚が楽しめる。

 

謎のメールとか、暗号のような手紙とか、不思議なバースデーメッセージとか。イラストでそれらが出て来るので、否応なしに考えさせられてしまう。これが結構(私には)難解で、解いている時間がもったいなくて、本文をどんどん読んでしまいました(笑)

 

 

 

 

すごく大きな感動があるとかではないのだけど、じんわりと心に広がって来るような物語が多い。個人的には、高尾山に親子で登った話と、府中の姉妹の話が印象的でした。どちらも家族という近い存在でありながら、なんとなく歯車が合わずもどかしい関係ではあるのだけど、最終的にはやはり家族だなぁ~って、戻るところに戻れたような温かさを感じる物語でした。

 

そして忘れてはならない存在がいます。物語の大きなカギを持つのは黒ぶちメガネの駅員さん。登場人物たちの困りごとにヒントを与え、サポートをしてくれるような存在。不思議とどの駅にも登場するのですが、再びは会えない。一体、この駅員さんは何者なのか?人々と微妙につながっている駅員さんの物語にも感動があります。

 小説✕街歩き✕謎解きという企画だったとのこと。重すぎずサラッと読める意味でも、これはこれで良いのだと思います。作者の岩井さん、あとがきにもありましたが、「文学を社会に浸透させる」という試みの第一歩だという。本への興味を持ってもらう意味でも、こうした試みは非常に大切だと思いました。久しぶりに本でも読んでみるか....なんてお考えの方にもおすすめ。きっともっと読みたいな~って意欲が湧いてくるはずですよ。

 

岩井圭也プロフィール

1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー。『最後の鑑定人』『楽園の犬』で日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、『完全なる白銀』で山本周五郎賞候補、『われは熊楠』で直木賞候補。他の作品に『文身』『舞台には誰もいない』(ともに小社刊)などがある。(Amazonより)

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