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【レビュー・あらすじ・感想】乱歩と千畝:青柳碧人

 

 

乱歩と千畝:青柳碧人著のレビューです。

☞読書ポイント 

早稲田の小さな蕎麦屋で出会った二人が友となり、やがて各々の世界で躍動する。探偵作家と外交官が繰り広げる壮大な物語を思い切り堪能しよう。

 

乱歩と千畝―RAMPOとSEMPO―

乱歩と千畝―RAMPOとSEMPO―

感想・あらすじ 

 

直木賞候補作のなかで一番読みたいと思った作品。残念ながら「受賞作品なし」ということでしたが、とても面白そうだったので読んでみました。

 

探偵作家で有名な江戸川乱歩。そして外交官の杉原千畝。この二人の出会いから最期の時までを綴った一冊。読み終わるまで実話なのかな?と思っていましたが、実はフィクションだそうです。それを知って、よくもまぁ、こんなにうまく二人を結び付けたものだと感心。

 

しかしこの二人、全く接点がなかったわけではなく、旧制愛知県立第五中学校(現在の瑞陵高校)、早稲田大学を卒業という、歳こそ違いますが、共通点があったわけです。そこをうまく使って二人を出会わせ物語にしたわけなんですね。

 

何といってもまだ二人が何者でもなかった時期の出会いのシーンがとても魅力的で、これから始まる夢と希望に溢れた感じがとても良い。

 

 

 

ところで杉原千畝という人物。わたしは知らない人物だったのですが、本書を読むと混乱期の状況下で意思を貫いたとも言える偉業は本当にすごいものがある。読後にWikipediaを見てみましたが、彼のその活躍ぶりは、どんだけってくらい画面いっぱいに続いていた。

 

千畝の人生は仕事一筋と言った印象があるのですが、それもこれも乱歩と出会いがなければなかった。早稲田にある蕎麦屋・三朝庵から羽ばたいていったとも言える千畝。たとえ物語であろうと、本当に感無量な気持ちになるのです。

冒頭の出会いのシーン。ここから長い長い話が始まります。

 

江戸川乱歩については、作品は知っていても、乱歩の人柄を知る人は案外少ないんじゃないかな...と思う。結構変わり者で、作品も書いたり書かなかったり、ちょっとつかみどころのない人物ではありますが、しっかり者の伴侶に恵まれ、今私たちの知る「江戸川乱歩」になったようです。

 

乱歩の妻もしっかり者だけど、千畝の妻たちも魅力的だ。特に最初の結婚相手であるクラウディアとは切ない別れではあったけれども、千畝のことを本当に理解していていた強い人でありました。

 

本作では横溝正史や松本清張をはじめ、乱歩と関係のある作家たちも登場し、ちょいちょい楽しませてもらえました。

 

 

 

乱歩と千畝、その後、日本と海外、活躍の場も変わりますが交流は続きます。途中、気持ちがすれ違い、離れた時期もあったりもしたので、一緒に過ごした時間って、実はごくわずかだったんじゃないかと思います。それでも互いを引き寄せ、その影響力は強かった。そして偶然再会したりと、まさに「運命の人」ってこういうことなのだろうと感じさせられます。

 

たった数時間、いや、数分だけの出会いが人生の行く道を変えてしまう、そして歴史までも動かしてしまう。フィクションとは言え、ものすごく引き込まれました。そして若者の夢と希望から生み出される力強さを改めて感じさせられました。夢ってやっぱり大事なんだなぁと。

 

ところで早稲田にある三朝庵。もうないんですねぇ~。実は私もあの店でよく食べていた一人(笑)朝通ると、鰹節の出汁を取っている匂いが、それはそれはいい匂いでした。今でも鰹出汁を嗅ぐと、三朝庵を思い出します。この本を読んだからには、もう一度だけ行きたかった。どの席だろう?なんて想像しながらかつ丼を食べたかったなぁ。

青柳碧人プロフィール

1980年千葉県生れ。早稲田大学卒業。2009年『浜村渚の計算ノート』でデビュー。『むかしむかしあるところに、死体がありました。』で第17回本屋大賞にノミネート。他の著書に、『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(Netflixで映画化)『名探偵の生まれる夜 大正謎百景』の他、「西川麻子シリーズ」「猫河原家の人びとシリーズ」など多くの人気シリーズを手がける。(Amazonより)

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