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【レビュー・あらすじ・感想】音楽:三島由紀夫

 

 

音楽:三島由紀夫著のレビューです。

☞読書ポイント 

精神科医の手記という形で綴られるある女性患者の話。医師までも翻弄される彼女の症状の根底にあるものは?謎解きの要素もあり、先を急ぎたくなる作品。

 

音楽 (新潮文庫)

音楽 (新潮文庫)

感想・あらすじ 

 

久しぶりの三島作品。サラッと読めるんだけど、内容はなんとも気持ちがザワザワしていつまでたっても落ち着かず。それもこれも登場人物たちがみんな鬱々しているものだから、こちらまで鬱々が移ってしまったような状態。一方で「これは一体どういうことなのだろう?」と、推理をしながら読み進める。要は主人公の女性に翻弄されるんです、読者までも。

 

「音楽」なんてタイトルだから、軽快な内容を想像していたのですが、いやいや、これは結構ハードな内容。ここで言う「音楽」とは意外なものだったのです。

 

物語は精神科医にやって来たある患者の話。謎多き美女という設定によりかなり妖しい雰囲気。

 

話はその精神科医・汐見という男性医師の手記という形をとっている。そのタイトルは「精神分析における女性の冷感症の一症例」。

彼女は不感症で、どんなに恋人のことが好きでも、決して愛し合うことが出来ないと悩んでいるのです。ここで彼女の言う「音楽」とは「オルガズム」のことを指しているのですが、「音楽がきこえない」とは、なんとオブラートでくるんだ言い回しなんでしょう。このこじゃれた感じがもう(笑)

 

それはさておき、この女性がなぜそうのようなことに悩んでいるのか。医師はカウンセリングの傾聴により、彼女の過去を含めその深層心理を丁寧に手繰り寄せるのだが、これが一筋縄でいかない。彼女の奔放な行動や言動や嘘に精神科医ですら翻弄されてしまう始末。彼女を追っていく場面では「本当にこの医師は大丈夫か?ひょっとして好きになってしまったのか?」とハラハラさせられました。

 

 

 

 

その後は彼女と関わった男性たちも登場し、わちゃわちゃと話に厚みが増してくる。やはり美女の魔力はスゴイものでみんな必死。必死であればあるほど、彼女の気まぐれさや嘘がクローズアップされていく感じが落ち着かない。

 

そして一体彼女の根本的な問題はどこにあるのか?と。ネタバレになるので言えませんが、二転三転しながら、やがて彼女の根底にあるものが見えてきます。人の深層に潜むもの.....これは本当に複雑で厄介なものであることが窺えます。

 

それにしても三島氏は、精神分析の方面もかなり興味をもって勉強をしていたのではないでしょうか。自ら病院へも通っていた、もしくはかなり取材をしたのかもしれませんね。治療室の様子などもきっちり描かれていました。

 

ということで、やはり三島氏の小説は面白いな~。いまさらではありますが、ドラマ化してもらいたいなぁ。今風アレンジしないで、当時のまんまの雰囲気で。そうそう、解説も見どころが大きいです。澁澤龍彦氏と、なんと村田紗耶香さんが登場。かなり熱い解説、最後の最後まで読み尽くしたという満足感も。

三島由紀夫プロフィール

1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される(Amazonより)

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