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【感想・あらすじ・レビュー】幼ものがたり:石井桃子

 

 

幼ものがたり:石井桃子著のレビューです。

☞読書ポイント 

70歳に近い時期、石井さんが子供時代を思い出しながら書いた一冊。びっくりするほど細かなことまで覚えていらっしゃる。当時の生活や人々の様子が生き生きと描かれている。

 

幼ものがたり (福音館文庫 ノンフィクション)

幼ものがたり (福音館文庫 ノンフィクション)

感想・あらすじ 

 

石井桃子さんは1907年生まれ。もしご存命なら118歳ということになる。なので、この物語は少なくとも100年以上前の話ということになるのだが、なぜだかとても懐かしいという気持ちになるのはどういうことなのだろうか?

 

昭和生まれの私にとって明治時代は祖父母の時代で、ほんの少しだけでもその残像のようなものに触れて来たからなのか。いずれにしても、この時代を「懐かしいなぁ」と目を細めて読んでしまう自分がなんだか可笑しい。

 

本書は石井さんが70歳に近づいた時に、ご自身の幼少期のことを思い出しながら書いたそうだ。曖昧な部分も多少はあるけれども、かなり細かい部分まで覚えていることにびっくり。自分が70になった時、ここまで覚えていられるかな~、いや、無理無理。

 

好奇心旺盛の子供たち。自分の家族だけでなく、近所の大人たちの背中までも見て育つと言った感じだ。大人の手仕事、近所付き合い、そして商いなど、小さなふたつの目は、いつもクルクルと動いているといった印象だ。

 

 

 

 

関わる人々も今の子供たちと違って大勢いる。年の離れたきょうだいは、まるで親のような存在であったり、親戚が一緒に暮らしていたり大家族は当たり前。特にきょうだいとの思い出はたくさん登場する。

 

非常に細かい近所の手書きの地図も登場。年中行事や、その時々に咲いていた花ことなんかも書かれている。(本当、よく覚えているなぁ)

 

個人的に一番楽しかったのは「明治のおわりに」の章。様々な音が町中に響いてくる感じがとても良い。よかよか飴屋、らお屋、しんこ細工屋、定斎屋、天秤棒を担いだ魚屋等々が道を往来する。

 

声でアピールする者、引き出し缶をカチャカチャ鳴らしながらやって来る者、蒸気の笛をにぎやかに鳴らしながらやって来る者。

 

一日中、道を眺めているだけでも飽きないだろうなぁ~。そういえば、昭和も「やきいも」とか「竿屋」とか独特な節をつけての呼び込みがありましたよねぇ。夕方のお豆腐屋さんのラッパの音も懐かしい。昭和はまだそういう呼び込み音みたいなものがあったけど、最近はめっきり聞くことがなくなった。改めて時代が変わったことを感じました。

 

 

 

そしてうちの母の話にもよく登場する「富山の薬売り」。石井さんの話にもありましたが、最後に子どもたちに「紙風船」をお土産にくれるという楽しみ。それを目当てに玄関先でじっと待っている子供たちの姿を想像するだけで、こちらまでドキドキ、ワクワクと、嬉しくなってしまう。

 

ということで、明治、大正時代の日本はまだまだ貧しいけど、人々の精神はおおらかで、子供たちがのびのびと暮らしていた感じが手に取るように感じられました。なんだかちょっと羨ましいような....。なんてことを感じつつ読了です。

石井桃子プロフィール

1907年埼玉県生まれ。1951年に『ノンちゃん雲に乗る』で文部大臣賞受賞。1953年児童文学に貢献したことにより菊池寛賞受賞。童話に『三月ひなのつき』『山のトムさん』、絵本に『くいしんぼうのはなこさん』『ありこのおつかい』(以上福音館書店)、翻訳に『クマのプーさん』『たのしい川べ』(以上岩波書店)など多数。

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