東京MXTVの５時に夢中！で紹介された本や映画を掲載しています。
東京MXTVの５時に夢中！で紹介された本や映画を紹介します。新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで、月に１度、３本ほど紹介しています以下は、おおまかなあらすじと、中瀬親方が話していたことを簡潔にまとめたものを掲載しています。親方はどんな本を紹介してくれるでしょう。早速見て行きましょう！
【関脇】 全員タナカヒロカズ：田中宏和
中瀬さん：
自分と同姓同名の人たちを募る変わったプロジェクトを綴った作品。自分の平凡な名前が嫌いだった筆者が、同姓同名の人を見つけ、感動したことをきっかけに、３０年にわたり同姓同名の人を募る活動を続ける姿を紹介する。
ある時、糸井重里さんのWEBサイトほぼ日に、この活動をつたえたところ、かなりの反響があった。活動９年目にしてタナカヒロカズさんと会う決意。そこからこの活動はどんどん大きくなっていく。やがてギネス挑戦まで広がっていくことになる。
はじめて会う時の名刺交換など、普通の初対面とは違う展開が面白い。この作品は色々なタナカカズヒロさんを紹介するわけではなく、キラキラネームの蘊蓄とか、世界の名前事情など、名前に関することが書かれていて、めちゃめちゃ勉強になる。
また、読んでいると不思議と共感を覚える。自分の名前にここまでエネルギーを使えるってすごい。名前とは何か、自分の名前なども考えてしまう不思議な一冊。なかなか面白い本。
【大関】 映画：アイム・スティル・ヒア
中瀬さん：
１９７０年代の軍事政権下のブラジルを舞台に、夫を奪われたエウニセが、過酷な抑圧の中で家族とともに強く生きる姿を描いた作品。前半は幸せな家族の光景。やがて軍に連れて行かれた夫の消息が一切わからなくなる。夫の名を叫び続ける妻は、やがて時代を揺るがすという思わぬ展開へ。
本作は監督の知り合いの実話に基づいた作品。スーパーエイトというホームムービーのようなざらつきのあるフィルムを使っていたり、音だけで臨場感を出したりなど、不条理な悲劇の表現が見事。
終盤にかけての母の強さは本当に胸を打たれる。今のブラジル社会における民主主義の脆弱さにも警鐘を鳴らしている。ブラジル国内では社会現象が起きたほどヒットした。是非、劇場でご覧ください。
いよいよ横綱👇
【横綱】 小説：ババヤガの夜：王谷晶
中瀬さん：
ダガー賞受賞作。暴力が唯一の趣味の依子が、暴力団長の娘・尚子のボディ―ガードとして裏社会に生きる姿を描いた作品。反発しつつも変わるふたりの関係性と、尚子の婚約者との間で起こる騒動が物語を動かす。
なんといっても女性二人の関係性、シスターフッドの感情の機微や、依子の容赦ない暴力描写がものすごくリアル。読んでいて、まるで１本の凄い映画を観ている感覚になるくらい視覚にも訴えて来るような文章。それでいて、ストーリーにひとつも無駄がない。短くまとめる文章力と、テンポの良さ、どれをとっても一級品。傑作・シスターフッド・バイオレンス・アクション！！
２００ページを切っている。そのコンパクトさの中に、内容の濃さはもちろん、中盤、誰もが騙されるであろう一幕が。読んだ後、友達に語り合いたくなる。この圧倒的な作品を、是非味わって下さい。本当におすすめです。
後記
自分と同姓同名の人っていそうだけど、まだ会ったことはないな～。こういう本があることを知って初めてちょっと気になり始めたり.....。名前の蘊蓄もたくさん書かれているそうなので、興味津々です。そして、ダガー賞受賞作は、なかなかパンチのある作品ですね。２００ページということですし、気軽に読めそうな一冊ですね。それではまた来月♪
