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【感想・あらすじ・レビュー】世界99:村田紗耶香

 

 

世界99:村田紗耶香著のレビューです。

☞読書ポイント 

村田紗耶香さんの世界観に戸惑いながらも、自分もその世界にまんまと溺れていく。いろんな感情にうなされもするが、とにかくこの世界に慣れる?ところから、世界99を知ろう。

 

世界99 上下巻セット

世界99 上下巻セット

感想・あらすじ 

まずは上巻を読んだ感想になります。

 

いやいや、すごい作品を読んでしまった.....というのが第一の感想です。村田紗耶香さんの作品だから多少構えて読むつもりでいましたが、今回はそういう自分の中にある村田作品に対する鎧が本当に無意味なものであったのだなぁと何度も思わさせられました。もう想像する内容の上の上の上、頭の上を超えていくような....。兎にも角にも、村田さんはモンスター作家であるということが自分の中で決定した作品だとも言えます。

 

読んでいくうちにどんどん混沌としていくといった感じでした。人間の感情として共感できる部分も確かにあるし、誰しも心当たりがある部分にドキッとさせられることもある。例えば本当の自分ではなく環境によって自分のキャラをを変える。その方がそこで生きるためにはうまくやっていけることもある。いわば「演じている自分」ってやつですね。

これはほんの一例なんですけど、学校、社会、家族、夫婦等々の関係性や立場の変化など、「空子」という主人公の成長とともに話がどんどん膨らんでいきます。この膨らませ方が本当にすごい。いくつもの世界が同時進行していくのだけど、頭が狂いそうなほど混沌としていくのです。もう何を読んでいるのかすら....うーうーと唸りながらもページをめくる手が止まらない。なんなん?これは?

 

おまけによく分らない生物・ピョコルンとか、トレース、クリーン・タウン、ラロロリン人、ウエガイコク等々、この世界特有の名称が盛りだくさんです。はじめはユニークだなんて思って笑っていたけど、ふざけた話とか、ぶっ飛んでいる話だけではないことがだんだんと解かってくる。

 

性差別、いじめ、ジェンダー、代理出産、権力、格差、国籍による差別、暴力等々、今ある社会の問題があらゆる話に潜んでいる。

 

 

 

 

上巻はとにかく「すごい作品を読んでしまった」という興奮が止まりません。これ、村田さんはどんな気持ちで書いていたんだろう。完全に気持ちがあっちの世界に行っていたとしか思えないほど、物語の世界に溶け込んでいたのではないだろうか。いや、あそこに住んでいたって言っても過言ではないほど没入感が。村田紗耶香は恐ろしい作家であることは確かです。

 

下巻はどうなるんだろう?さらに突き抜けていくのだろうか?空子はどんな風に年を取っていくのだろうか。小休止して下巻に挑もうと思います。ということで、下巻を読み次第また追記します。

■下巻レビュー

ここからは下巻のネタバレなしの短い感想です

読み終わってすぐ感想を書いています。下巻はピョコルンが常に物語の中心にいたように思います。人間をリサイクルした生き物であるピョコルン。この設定だけでもゾクゾクさせられるものがある。ピョコルンは性処理の相手になったり、妊娠、出産、育児、家事等をする役目を与えられ存在する。恋愛結婚は消滅しつつある世界で、友達同士が結婚することが主流になる。

 

とにかくびっくりする設定が下巻でも次々と出てきます。後半へいくほど、この奇妙な世界は加速度的に広がっていき、グロテスクで「ひっ」と思わず声を出してしまう場面もありました。

 

そして注目すべき点はやはり主人公・空子の行方です。物語の後半、空子は中年女性になっており、彼女は大きな決断に踏み切ります。彼女が選んだ道は、ある儀式が伴うのですが、これがもう......。

 

とにかく壮大すぎる世界。読み終わったときの脱力感たるや.....。今晩、悪い夢をみそうな気さえする。村田さんがこの壮大な物語を通して何を訴えたかったのか、これはまだわたしには分からない。けれども、空子が後半放った言葉がとても印象的だった。

未来がないと世界が明るい。

わたしたちは一体、どこに向かって生きているのだろう。そんなことがぐるぐると頭の中に渦巻いている。

村田紗耶香プロフィール

1979(昭和54)年千葉県生れ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003(平成15)年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。(新潮社著者プロフィールより)

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