表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬:若林正恭著のレビューです。
☞読書ポイント
感想・あらすじ
いまさらながら最近オードリーのふたりの面白さにはまっている。これまで若林さんは読書家であることから親近感があったのですが、コンビとして見ることはあまりなかった。でもラジオを聴くようになって、お二人のこれまで持っていたイメージとは違った面が見えて来て、今、わたしのなかでオードリーは「旬」の芸人さんです。
そこでこれまで読もう読もうと思っていた若林さんの本。読書案内の本は読んでいましたが、まるごとご本人のことを書かれた本は初めて読むことに。日常エッセイかなと思って読み始めたら、旅エッセイでした。 しかも、行先はキューバ。
「なぜキューバ?」「若林さんのイメージと違う場所だな~、もっとほら、ヨーロッパとかの静かな美術館巡りとかじゃないのか?」「治安悪そうだけど、ひとりで大丈夫か?」とはやくも戸惑いが止まらない。なんとなく若林さんって人見知りでインドアなイメージがあるじゃないですか。そんな人が真逆とも言えそうなキューバにサッと旅立つ。とにかくその意外性に驚かされた。
本を開くと若林さんの短い夏休みが始まります。飛行機のチケットの予約から、旅が終わる飛行機の着陸まで、ぎっしりと旅行気分に浸れる内容です。芸能人っぽい豪華なホテルや食事が出てくるということも全くなく、ごくごく普通の旅であることが窺えます。散歩したり、つまみ食いしたり、観光したり、海に入ったり、景色を眺めたり。
特に狙って面白い話をしたりということもなく、淡々と自分が見て、聞いて、嗅いで、感じたことを書き綴っている。(若干、ナルシスト入ってるシーンも無きにしも非ず)
社会主義国、広告のない街から、今の日本の競争社会と照らし合わせて感じたことが若林さんから溢れ出す。また、ガイドさんや現地の人々との交流もすんなり馴染んでいる様子も。人物考察はやっぱり面白いですね。
今回の旅は、若林さんにとって色々な想いをスーツケースに詰め込んできたのだということが後半解る。特にお父様との思い出や、父親に対する若林さんの気持ちがなんだか泣けちゃって。まさか旅の本で泣かされるとは、しかもお笑い芸人さんに!
わたしは単行本で読みましたが、文庫本は書下ろし新章、モンゴル/アイスランド/コロナ後の東京が入っているそうです。うーーーこっちにすればよかった~。って、モンゴルとか、アイスランドも行ったんだ?若林さんの旅行先選び面白いですよね。いずれ図書館で読んでみようと思います。
ということで、いい本でした。なかなかキューバまでは行けそうもないですが、しっかり旅情を感じ取ることは出来ました。春日さん不在の若林さんもなかなか良いですぞ。
プロフィール
1978年9月20日生まれ。テレビ朝日『しくじり先生 俺みたいになるな!!』、日本テレビ『スクール革命!』、NHK『マサカメTV』、ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』等テレビ、ラジオで活躍中。ダ・ヴィンチの好評連載を単行本化した『社会人大学人見知り学部卒業見込』を2013年に刊行。(Amazonより)