ボロい東京:三浦展著のレビューです。

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感想
面白いタイトルですよね。最初はなんのことかわからなかったのですが、表紙を見ると「あぁ、たまにこういう家とか建物ってあるよなぁ」と。そう、どんどん開発は進んだ東京にも、ポツンとそこだけ時が止まったような場所って確かにある。
たまたま通りかった時にこのような場所を見かけても、次に通った時には見違えった景色になっているなんてことも多く、それだけ移り変わりが激しい東京の景色。なので、こうした本はすでに見られない東京の風景の貴重な資料とも言えます。
本書は主に東日本大震災直前から、約10年、筆者が下町界隈を通っているときに撮った写真だそう。なので、9割がた下町の風景です。一見、無秩序に掲載されているように見えますが、構成は「階段」「扉」「郵便」「消火器」等々、物や場所に焦点を当てて掲載していく。白黒写真の中にポツポツとカラー写真を入れ込んでいます。

洗濯物が干されているから人が住んでいるんだなとか、どんなに古くても給湯器やエアコンのダクトなどがあるとそれはまるで「住んでいますよ」的なサインのように思えて来る。
さびついたトタンの波打つ壁を久しぶり見たなぁ。個人宅の赤い郵便ポストも最近見なくなったけど、昔はみんなこんな感じだったなぁ...など、懐かしいものとの再会も。
そしてやはり見ていると心配になってくるのは耐震性。ハザードマップで危険エリアとされている場所は、やはりこれらの建物が残っているところということが窺える。逆に東京もこれまで結構大き目の地震があったけど、よく耐えて来たものだと思える建物も多い。
本書には人が登場しない。(一人だけ自転車に乗った人がいたかな)人けがないから余計に寂れた感じがする。人の気配を求めながら黙々とページをめくる時間でした。
余談ですが筆者のお名前は「みうらあつし」と読むのだそう。写真家とかアーティストを想像していたのですが、マーケティング・アナリストだそう。パルコでも勤めていたとか。意外でした。
三浦展プロフィール
1958年生まれ。一橋大学社会学部卒。パルコ入社後、マーケティング誌「アクロス」編集長を務め、三菱総合研究所を経てカルチャースタディーズ研究所を設立。消費、都市、郊外を研究する。主な著書に『あなたの住まいの見つけ方』(ちくまプリマー新書)、『下流社会』『東京郊外の生存競争が始まった!』(光文社新書)、『第四の消費』(朝日新書)、『ファスト風土化する日本』(新書y)、『東京田園モダン』(洋泉社)、『昭和「娯楽の殿堂」の時代』(柏書房)などがある。(WEBちくまより)
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三浦さん、こっちが本業の書籍ですね。「下流社会」って言葉も流行りましたよね。






