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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

『ゆびさきに魔法』レビュー|賑やかさの奥に潜む痛みと優しさ

 

 

ゆびさきに魔法:三浦しをん著のレビューです。

☞読書ポイント 

ネイルサロンを舞台にしたお仕事小説。濃ゆいキャラの登場人物たちにどんどんハマっていく一冊です。おちゃらけムードの中に、ふと胸が熱くなる瞬間もあって、笑いながら読んでいたのに気づけばほろり。接客業の人や、仕事にちょっと疲れた人にもそっと寄り添ってくれる物語。働くすべての人の心に響く、元気をもらえる小説。

 

 

ゆびさきに魔法 (文春e-book)

ゆびさきに魔法 (文春e-book)

感想・あらすじ 

やっぱり面白いですね~。しをんさんの小説は漫画を読んでいる感覚になるのがなんとも不思議なんですが、とにかく登場人物のキャラがくっきり、はっきり個性を持って文字の世界に浮かび上がってくる。読み終わるころにはこの人々と完全に知り合い感覚に陥るのはなんなんだろう~。

 

ということで、今回も濃ゆい人々に囲まれながらあっという間に物語の中に連れていかれました。内容はネイリストのお仕事小説と言っていいと思います。施術法や技術的な部分にかなり踏み込んでいます。

 

ネイルをしたことがある方はご存じだと思いますが一度ハマるとずっとしてしまうネイルの魔法。わたしも知人のネイリストの実験台になったことをきっかけに、一時しょちゅうネイルサロンに足を運んでいました。最近ははさっぱりご無沙汰なので本に書かれていた施術など知らないことばかり。技術はどんどん進化しているんですね。

 

 

 

 

さて、主人公はネイリストの月島美佐。ネイルサロン『月と星』をひとりで経営している。そこに雇われたのは新米ネイリスト大沢星絵。彼女はネイルサロンの隣にある居酒屋「あと一杯」の常連客で、その店の縁で美佐のサロンに就職することになった。彼女の人との距離感の近さや、アイデアなどは超見どころが多く、その魅力に読者もハマることとなる。

 

やはりしをんさんの作品は、かなり人間味あふれる展開が待っていました。最初は登場人物たちのおちゃらけた会話や、サロンがどんどん賑やかになっていく様子がとにかく愉快でクスクス笑いながら読んでいたけど、後半へ行くほど美佐が星江の将来を想う気持ちが溢れて来たり、美佐のこれまでの足取りを知るにつれ、物語にどんどん厚みが出てくるのです。

 

仕事って努力だけではどうにもならない才能やセンスなどの差が出てくる。だから時に同僚に嫉妬してしまう感情だってあると思う。本作では仕事をする上でのそうした苦悩の向き合い方、相手を敬い、時に離れたり、手離したりという選択肢もあるということを教えてくれる。

 

 

 

美佐が星江を想う気持ちはしをんさんお得意路線のバディ感が満載。恋愛ではないんだけど、その想いが切なかったりするものだから、こちらの気持ちも右往左往してしまう。後半はどうなるんだろう?とヤキモキさせらましたが、おもしろいオチもあり、これまたしをんさんの小説だなぁと。

 

この小説を読んでいると自分の心地よい居場所ってどこだろう?頑張れる場所ってどこだろう?なんてことを考えさせられました。あと、男性も気軽にネイル出来る社会になるといいなぁとかね。全体的にわちゃわちゃした人々でしたが、読み終わるとちゃんと考えさせられる内容でもあったのだなぁと思う。人情味のある元気が出るお仕事小説でした。あ、あと、お腹も空くかも。居酒屋料理がおいしそう!

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