完黙の女:前川裕著のレビューです。

☞読書ポイント
感想・あらすじ
実話ベースの小説。ラジオで紹介された時、かなり気になる内容だったので読んでみようと思った1冊です。なにせ「実話ミステリーの新境地」ということと、この事件があったことを知っておくべき、とのことだったので見過ごすことが出来なかった。
本作は1つの事件を追っていくうちに、もうひとつの事件が重なっていく形なので、若干、ごちゃついてしまう。前半はまだ興味も相まって前のめりで読んでいたのですが、いつまでたっても先が見えてこないもどかしさから、ダラダラムードが自分の中で起きてしまい、んーー結構読むのが苦痛になってしまった。
それでも早くスッキリしたいという気持ち一心で最後まで読みましたが....。結局のところ、実話の方も未解決ってことなので、ちゃんとした結末は期待しちゃいけないってことを頭に入れておくべきだったかなあと。全体的にぼわ~んとしたまま、薄気味悪い気持ちのみが残って読了。
そもそもの事件を知らないのですが、本作の事件の発端は、小4の男子が自宅にかかって来た電話に出て、その相手に呼び出され、一人で出かけ失踪してしまう。見つからないまま時が過ぎ、やがて、子供の骨を所持していた女が殺人容疑で逮捕されるのだが、どんな取り調べが行われても彼女は沈黙を貫き通す。そして判決では無罪。
さらにこの事件と別の事件である「中学女子誘拐事件」が絡んでくる。そうなるとさらに闇深くなっていき、もう真相に辿り着くにはかなり時間がかかりそうだなぁと感じ始めたわけだけど、案の定、問題が行ったり来たり、登場する人々もえげつなく、誰が本当のことを話しているのか?と探りながらも迷宮入り。
ということで、この手の話を読むのが好きな人も多いと思うのですが、私にはさっぱりだったなぁ。最終的には疑問符ばかりが頭の中に浮かび、すっきりしないままでした。途中で寝てしまうことが多く、読むのに結構時間がかかっちゃったというのが正直な感想。お察しください。
今回感じたのは、実話事件ベースの小説って難しい。特に未解決ものは小説として描くには荷が重そうだ。小説だから思い切った展開にしてしまえば?とも思うけど、なかなかそうもいかないのでしょう。何冊かこういう小説を読んだことがあるけど、結局分からないことは分からないままになっていて、読者が不完全燃焼気味になるパターン。どういう結末に持っていくのか?その匙加減が難しそうだなぁと感じました。
本作の元ネタになった事件
・1984年1月に札幌市豊平区で起きた男児失踪死亡事件
・1991年に千葉市で起きた女子中学生誘拐事件
前川裕プロフィール
1951年東京都生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院人文科学研究科修了。専門は比較文学、アメリカ文学。法政大学国際文化学部教授を長年務め、2023年5月現在は名誉教授。2012年『クリーピー』で第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家として本格デビュー。「クリーピー」シリーズのほか、『ハーシュ』『魔物を抱く女―生活安全課刑事・法然隆三―』『号泣』『白昼の絞殺魔 刑事課・桔梗里見の猟奇ファイル』『ビザール学園』『ギニー・ファウル』など著書多数。(Amazonより)
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