燃えながら:瀬戸内晴美著のレビューです。

☞読書ポイント
感想・あらすじ
昭和55年、寂聴さん58歳の時の作品です。寂聴さんの作品は、年に1~2冊「瀬戸内晴美を読む」という感じで読み進めているところです。特に意識はしていなかったのですが、周期的に読みたくなるんです。「晴美」時代の作品を。なんでだろうなぁ、いろんな本を読んでると、瀬戸内晴美の文章が恋しくなるって感じになるんですよね。中毒症状かしら(笑)
「燃えながら」は、瀬戸内作品の中でも、比較的ライトな小説だと感じました。感覚的には有吉佐和子さんの人間関係を扱った作品に近いかなと。家族や女心を描いた恋愛話などサラッとした筆致で書き綴ったもの。昭和だなぁ~って感じるシーンも多く、それもまた楽しいです。
とは言え、人々の関係性はやはりドロッとしたものがあります。景山家を中心に描かれているのですが、この家に嫁いだ香苗の舅は若い妾と同居中っていう設定からしてすでに何かがはじまっている。
一方、香苗の夫もどうやら浮気をしている模様。そして、香苗の妹、桃子も妻ある男性に恋をして、これまたゴチャゴチャ問題が勃発。そうこうしているうちに舅の妾と景山家の三男がどうやら恋愛関係に。彼は婚約者に近いとも言える女性がいるにも関わらず....といった状況。やがて彼はコペンハーゲンに行ってしまうわけだが、妾との関係も再燃し....と。
面白いくらい、何かバタバタが広がっていくのです。ドラマにしたら面白そうだなぁ~なんて思いながら、ページをめくる指が止まりません。
とにかく10人いれば10人、男女関係の複雑さが窺える内容です。すごく悩んでいて、この上なく不幸だと思っていても、案外ちょっとしたきっかけで吹っ切れたり、気づけたり。香苗の妹・桃子も、相手との関係に苦悩していたけど、ある男性との出会いで気づくのだ。

「愉しさがしゃぼん玉のようにふきあがってくる」―――この言葉がすごく印象的でした。これこそが彼女のこれまでの恋愛に足りなかった部分。これから新しい恋を予感させられる感情がものすごく伝わって来ます。
様々な恋愛模様を描きながら、舞台はコペンハーゲンになったりと、雰囲気を変えながら最後まで飽きることなく読み切れました。香苗が主人公かな?って思っていましたが、ある意味、登場人物全てが主人公のようでもあったなぁと感じます。
さて、次は何の作品を読もうか?探すのもまた楽しい「瀬戸内晴美作品」でした。
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