東京MXTVの5時に夢中!で紹介された本や映画を掲載しています。
東京MXTVの5時に夢中!で紹介された本や映画を紹介します。新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで、月に1度、3本ほど紹介しています以下は、おおまかなあらすじと、中瀬親方が話していたことを簡潔にまとめたものを掲載しています。親方はどんな本を紹介してくれるでしょう。早速見て行きましょう!
韓国映画:対外秘
中瀬さん:
1992年の釜山を舞台とした国家を揺るがす壮絶な権力闘争を描いたサスペンス映画。
韓国映画はかなりグロいシーンが多いんですが、今回はそんなこともなく、主人公のちょっと間の抜けた感じや、明るめの音楽で、わりとポップに描かれている。だからと言って見ごたえのない映画というわけでなく、迫力、スリル、サスペンスがたっぷり中盤から後半にかけててんこ盛り。裏切り、騙し合いのテンポが最高で、あっという間の116分でした。
結末の大どんでん返しが、まさに韓国版JOKER。期待を裏切らない内容になっていますのでご覧ください。
次は大関👇
【大関】漫画・路傍のフジ:鍋倉夫
中瀬さん:
ビックコミックスピリッツに連載中の漫画。
一見地味な中年男性の一周回って格好いいともいえる生きざまに、周りが影響されていく様子を描いた作品。
今、周りと比べられ生きづらさを感じることが多い時代。人生にとって何が大切なのかを教えてくれる作品でもあります。世の中の価値観のはるか外側に身を置いてる主人公の言動が結構癖になる。あなたの周りにもフジイがいるんじゃないか、自分の周りのフジイを探したくなる。コミックは現在3巻。続きがどんどん気になる作品。
いよいよ横綱👇
【横綱】短編小説集・富士山:平野啓一郎
中瀬さん:
マッチングアプリで知り合った彼と旅行の道中で起きたことで別れるが、後日、彼の知られざる一面を衝撃的な形で知ることになり、悩みながら生きる物語。
「蛙化現象」なんて言葉が流行るという今の時代に、ある瞬間で自分が判断されることに不安を感じる人が多いんじゃないかと思う。ひとつの行動で人の本質を判断することの危うさっていうのも気が付きながら、でもマッチングアプリで出会った相手は限られた情報で判断しないといけないというジレンマもある。そういうところも細やかに表現されていてとても読みごたえがあります。
5編の中で一番好きだったのは、「息吹」という作品で、パラレルワード的なもう一つの自分がいるという不思議な読み味。
5編に共通しているテーマは「偶然性」。人生ってたまたまあそこ行った、たまたま出会った、話したっていう偶然が影響することってすごく多いじゃないですか。ネットでポチっと物が買える今の時代に、本屋でなにげなく手に取った作品が面白くて人生が変わったとか、そういう素晴らしい偶然を体験する機会って減っていると思う。
本作はそうした偶然に対して感受性を取り戻せるし、一見、哲学的なテーマに見えますが、そこはさすがは平野啓一郎さんで全然難しく書かれていない。見事にその世界に引き込んでくれます。ある意味一生忘れれられない読後感というのをお約束したいと思います。
後記
今日はエンタメ番付、たっぷり時間があった感じで、特に平野さんの作品に関してじっくりお話を聞くことができました。モノクロの表紙を見て気になっていたのですが、これは読みたい!って思えました。ところで10月場所、てっきり31日の放送だと思っていたんですが、珍しく最終木曜日ではなかったんですよね~。来週なにかあるのかな....?ま、楽しみにしておこう。それでは、また来月。