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【感想・あらすじ・レビュー】蕁麻の家:荻原葉子

 

 

蕁麻の家:荻原葉子著のレビューです。

☞読書ポイント 

萩原朔太郎氏の存在は知っている人も多いだろうが、私生活はどうであったか?娘が綴る本作から見えて来たものは底なしの不幸。三部作からなる自伝的私小説の第一部。

 

蕁麻の家 (講談社文芸文庫 はG 2)

蕁麻の家 (講談社文芸文庫 はG 2)

感想・あらすじ 

ずっと読みたかった一冊。でもこれは読むのには、かなり覚悟が要りそうだったので、なかなかその一歩が踏み出せなかった感じで、随分長いこと「読みたい本リスト」に入っていました。

 

荻原葉子さんは荻原朔太郎氏の娘。朔太郎氏に関しては詩人というイメージぐらいしかなかったのですが、本書を読むとあんまり幸せな人じゃなかったんだな....と。そして、その娘である葉子さんも過酷な環境で育ってきたと言える。なんというか、子供が我慢できる範疇を超えた精神的な痛みを与え続けられていた感じで、本当に気の毒としか言いようがない。

 

 

 

 

本作はそんな葉子さんの自伝的長編小説。今回読んだのは三部作の第一作目。まさかの三部作で、この先も続くのかと、嬉しいような悲しいような複雑な気分。とにかく最後まで読んでみたいと思いました。

 

「蕁麻の家」は葉子さん(本書では名をふたば)8歳の時に、母親が若い男と去ってしまい、知的障害の妹と父の実家で暮らすことになる。これが不幸の始まり、祖母に育てられるわけだがこの祖母が酷い。虐待ともいえる意地悪や罵倒の数々。よくぞそこまで子供相手にできるもんだなと思うくらいの鬼婆である。

こんな言葉を投げつける鬼婆。まるで盛りに盛った安いドラマの台詞のようだけど、この鬼婆はずっとこんな調子。憎らしいったらありゃしない。

 

周りにいる大人もなんだか自分勝手な人たちばかり。一番イライラするのは父親が無力というか、我が子の不幸を見て見ぬふりしているような感じで、仕事ばかりしている人という印象。すべてのものをシャットアウトしているような態度は幼いふたばも感じていたのだろう。父親に遠慮して助けを求めたりはしない子供だったのだ。

 

そんなふたばが成長し、自分の安らぎを見つけられたと思いきや......。「インラン女の娘」と言われてしまう事態へ。もう底なしの不幸なんです。そして、朔太郎の病状も悪化し....。

 

 

 

 

転がるように不幸が不幸を呼ぶ感じがなんとも息苦しい。とにかく冷え冷えとした何の温かみのない家庭がどこまでも続く。本作では父親が亡くなるところで終わっている。

 

最後にほんのわずかな親子のぬくもりは感じられたものの、今後のふたばと妹の行方に明るいものが見えてこない。どうなるのか、やはり見届けたくなるのが読者の気持ちだろう。

 

とういうことで、ちょっとしんどくなる話だったので、少し時間を空けてから次作に進もうと思います。萩原朔太郎のファンの方はこの本をどう読んだのか?そのあたり、ちょっと知りたい気もします。

荻原葉子プロフィール

1920年9月4日東京生まれ。詩人・萩原朔太郎の長女。精華高女卒。著書に『父・萩原朔太郎』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『天上の花―三好達治抄』(田村俊子賞・新潮社文学賞)、『蕁麻の家』三部作(「蕁麻の家」「閉ざされた庭」「輪廻の暦」/毎日芸術賞)など。ダンスなどのパフォーマンスでも知られる。2005年7月1日急逝した。(新潮社・著者プロフィールより)

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