消費される階級:酒井順子著のレビューです。

☞読書ポイント
感想・あらすじ
タイトルだけではちょっと分かりにくかったのですが、内容は「上に見たり、下に見たりを考察する21章」ということです。これまで酒井さんの本で『下に見る人』『男尊女子』などがありましたが、それに近い考察かなと。
とにかくこんなにも上下の差別的なことってあるのだな~という事例がたくさんありました。もう当たり前になりすぎていて、そういえばそうだな~なんて思うものもあったり、また、昭和のおかしな差別や、現在の感覚や価値観と全く違うものなどを振り返り、今さらながら怒りを覚えたりと、なかなか感慨深いものがありました。
各章のタイトルも秀逸。「五十代からの「楢山」探し」、「超高齢化時代のおばあさん格差」、「モテなくていいけど、出会いたい」、「バカ差別が許される理由」等々、分かりやすい格差もあれば、これがどういう格差なのか?と読むまで分からないものまでさまざまですが、読むと「なるほど~あるある」となるのです。
古典に詳しい酒井さんなだけに、時に平安時代と現代との対比があったり、そうかと思えば身近な人たちの体験談などを交えたりと、とてもリアルな考察になっています。
「日本の社会ってあんまり変わらないよな~」なんて思うことは日常茶飯事ですが、こうして色々な場面を見ていくと、「いや、結構変化している部分もたくさんあるものだなぁ」と感じます。完全にではないけれど、職場における男女格差も昭和に比べたら顕著であることが確認できる。「ローマは一日にして成らず」とはよく言ったもので、こうしてちょっとずつ、ちょとずつの積み重ねがいかに大切かが窺える。

(本文より)
「負け犬の遠吠え」はもう20年も前になるのですね。あの頃から、社会の細かい部分をずっと考察して来た酒井さん。ちょっとのことも見逃さず冷静に世の中を分析。
マッチングアプリの出会いが普通になり、小学生のなりたい職業にユーチューバーがランクインしてきたり、「順位をつけない運動会」を行う学校があったり、チャットGTPなるものが登場したりと枚挙にいとまがない。20年前には想像出来なかったことばかりです。変わったことの多さにも改めて驚きます。
個人的に共感度が高かったのは「京都」と「東京」の考察。東京出身者の気持ちが表れていて頷くばかり。あと沁みたのは「高齢化時代のおばあさん格差」。これはこれから経験することになるんだけど、「長くいきるのも考えもの」ということがよく解る。年を取ると生きるだけで本当に大変であることが窺えます。
ということで、現在と少し前を比べてみるとハッとさせられることがかなり多いということが解りました。この先はいよいよ少子化、高齢化社会が進んでいくわけですが、ここから20年後の世の中はどう変化するのだろうか。そんなことを考えながら読了。
酒井順子プロフィール
1966(昭和41)年東京生まれ。高校時代より雑誌「オリーブ」に寄稿し、大学卒業後、広告会社勤務を経てエッセイ執筆に専念。2003(平成15)年に刊行した『負け犬の遠吠え』はベストセラーとなり、講談社エッセイ賞、婦人公論文芸賞を受賞。古典作品にまつわる著書も数多く、『枕草子』の現代語訳も手がけている。他の著書に『枕草子REMIX』『女流阿房列車』『紫式部の欲望』『ユーミンの罪』『地震と独身』『子の無い人生』『百年の女』『家族終了』『日本エッセイ小史』などがある。(新潮社・著者プロフィールより)
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