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【感想・あらすじ・レビュー】東京の異界 渋谷円山町:本橋信宏

 

 

東京の異界 渋谷円山町:本橋信宏著のレビューです。

☞読書ポイント 

若者の街と言われている渋谷。しかし円山町界隈は少しだけ趣が違う。渋谷の街の真ん中にありながらふと現れる異空間のような場所。一体あのエリアはどんな歴史があるのだろう。そこには過去から続く人々の営みがあり、あの独特の空間を作り上げて来たことが解る。

 

迷宮の花街 渋谷円山町

迷宮の花街 渋谷円山町

 

感想・あらすじ 

渋谷と言えば若者の街といったイメージが強いし、現にそうなのだけれども、その中央に位置する円山町は、スクランブル交差点の明るい雰囲気とはひと味違っている。何と言うかあの一帯だけ、時が止まっているかのような店やホテルが所狭しと並んでいる。新しいクラブなども出来てはいるけど、円山町と言えばあの独特な雰囲気がまず浮かぶ。

 

職場が道玄坂だった時もあったので、あの界隈はわりと知っているのだけど、円山町のディープな一角は、飲食店目当てに行くばかりで、ほぼ大通りから見るくらい。

 

今回急にこのエリアのことを知りたいと思ったのは、ポッドキャストの「OVER THE SUN」で、東電女性社員の事件を取り上げたことによります。そういえば....と、再び思い出し関連本を調べていたら、この本に辿り着きました。表紙の雰囲気が自分のイメージしている円山町にぴったり。円山町の夜の空気感がまんま映し出されています。

 

 

 

 

で、内容は円山町や道玄坂、神泉などを取り上げていて結構な情報量です。特に読んでいて「うぅ」となったのは神泉駅あたり。江戸時代は火葬場だったということ。

 

というのも、飲み会帰りに神泉駅までひとりで歩いたことがあるのですが、深い時間帯だったのもあるけど、ものすごく暗くて、静かで、怖い思いをしました。その後、夜は二度とそこを通らないようにしていますが、あの時の何とも言えない異界感と寒気は今でもはっきり覚えています。本書を読んで、昔とは言え「火葬場」だったということを知り納得。何とも言えない重い空気だったのは、気のせいではなかったかもと身震いです。

 

話を戻します。本書は東電社員の話はもちろん、花街だった頃の話、そして土地柄、ソープランドやラブホテルなど、円山町で生きる人々が大勢登場し、語っている。あの渋谷の「谷」とも言われる場所は、夜な夜な人々の「色」と「欲」が充満しているということが読んでいるだけでも伝わってくる。

 

特に第六章の「密会場所に向かう女たち」で語られる内容の生々しいこと。にしても浮気って言うと、かつては男性がするってイメージがあったけど、いや、よく考えたら浮気は一人ではできない。浮気の数=男女同数ってことなんだな....という当たり前のことを改めて実感。そして男女の出会いのパターンも十人十色。出会ってこの「谷」で蠢く人々のリアルな声がここににあり、生と性が炙り出されている。

 

ノンフィクションの番組がいくらでも作れそうに思える円山町界隈。長い歴史を纏いながら今夜もあの街の夜がはじまる。そんなことを思いながら読了。やぁ...円山町は、濃い、深い。

 

 

 

新潮文庫版

本橋信宏プロフィール

1956年4月4日所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。村西とおる監督の半生を綴った「全裸監督」(太田出版)が、山田孝之主演で、Netflixから2019年8月8日、190ヶ国で同時配信。世界的大ヒットとなる。現在Season2制作中。私小説的手法で庶民史を描くことをライフワークとしている。実家から徒歩10分ほどで「となりのトトロ」のモデルになった狭山丘陵・八国山が横たわる。現在、都内暮らし。半生を振り返り、バブル焼け跡派と自称する。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論。(Amazonより)

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