つけびの村 噂が5人を殺したのか?:高橋ユキ著のレビューです。
☞読書ポイント
「一夜にして5人の村人が殺害された」--事件の真相を探る
まずは、こちらの事件を覚えていますか?
山口連続殺人放火事件は、2013年7月21日に山口県周南市大字金峰の集落にて発生した連続殺人・放火事件。集落の住人だった加害者の男Hが自宅近隣に住む高齢者5人を殺害して被害者宅に放火した殺人・非現住建造物等放火事件である。 報道では「周南5人殺害」「山口・周南5人殺害」「周南市5人殺害」などと呼称される場合がある。(Wikipediaより)
わたしはこの事件のことをすっかり忘れてしまっていました。というより内容を読んでも「なんとなーく」程度で、ほぼ初めてこの事件に触れるといった感じです。
そもそもこの本がまわってくるまでホラー小説だと勘違いしていたので、読み始めて「あれれ」と。借りる前になんの下調べもしなかったわけだが、ただこの本がとても人気があったことは覚えている。2019年から気にかけていて、ようやく読むことが出来た。.....という経緯があり、期待度も勝手に上がっていったのです。
前置きが長くなりましたが、事件に関してのノンフィクションもので、タイトルの「つけびの村」に著者が何度も足を運び、村の人々を取材する。また、犯人の男との面会や、手紙のやり取りを重ね、その真相を探って行く。
ということで、よくあるノンフィクションと概ね同じ流れなんですが、何というか全体的に「ふわっ」とした印象が残る。 これだけの村人が一時に亡くなったのだから、どうしてもその裏に何か特別なことが隠されているのでは?と、変な期待があったのもいけないが、取材してもしてしても、なかなかたどり着けないもどかしさが常にあった気がします。
いろんな話が登場します。ボヤがあったり、犬猫が殺されたり、いじめがあったり、噂好きの村人、神社に関すること、そして加害者の家族の歴史や妄想障害など、いろーんな「これが原因か!?」って話が、目の前に現れては消えていく。しまいには、「10年経たないと話せない」って言う村人の話まで出てくる。 それらの話に翻弄され続け、結局「so what?」って気分になってしまったのです。
そこそこページ数もあり、段階を踏んで話は進んではいくのだけれども、中途半端な気持ちばかりが残った。せっかく一冊の本にしたのだから、一般的なニュースやWikipediaで知り得ないことをもっと堀り下げてほしかったなぁと。読者はそこを望んでいるはず。
ただ印象的だったのは、加害者の家族が眠るお墓と、加害者の手書きの手紙の写真。草木が生い茂る森の中に、朽ちたお墓。その墓石の周りは柵。そして手紙の方はずっと見ていると、ほんと、具合が悪くなっちゃうような何とも言えない癖のある文字。これだけが目に焼き付いちゃって困った。
ということで、「百聞は一見に如かず」といった感じで、文字より数枚の写真のほうが伝わってくるものが大きかった気がします。
【つなぐ本】本は本をつれて来る
「つけびの村」を読みながら思い出したのがこの小説。何とも言えない閉塞感が印象的でした。小池さんの初期のホラーは纏わりついて来るような怖さがある。




