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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ショローの女:伊藤比呂美

 

 

ショローの女:伊藤比呂美著のレビューです。

 

ショローってこんなにパワフルなの!?

 

伊藤比呂美さんのエッセイは久しぶりだなぁ。日本で生活なさっているのは何となく知っていたけど、ここ数年どんな風に生活されていたのか全く知らなかったので、なんだかずっと連絡を取ってなかった友達の話を聞くような感覚で読みました。

 

ということで、伊藤さんは熊本にいらした!アメリカから熊本へ。一匹の犬のクレイマーと一緒に住んでいる。ご主人はお亡くなりになったようです。そして、娘さんたちはアメリカに残り、結婚もされたようだ。

 

伊藤さんの生活は熊本と東京を行った来たり。早稲田大学で講義をして、お友達の枝元なほみさんちに泊まって、また熊本に帰り、執筆活動しながら園芸を楽しみ、また講義。....みたいなかなりハードな日々を過ごしていらっしゃる。

 

伊藤さんは現在66歳。66歳はまだまだ若い!と言ってはみたものの、自分がその歳を迎えたときに、伊藤さんみたいな生活ができるかと聞かれたら無理だろうなぁと。伊藤さんも疲労との戦いみたいですが、とにかくよく動く、動き回っている。ショローって言うけど、現役バリバリです。

 

 

 

前半はそんな感じで、とにかく慌ただしい日々が綴られていたのだけど、後半はガラッと生活が一変する。そう、コロナ禍になってからの話が登場する。熊本ー東京の生活は止まり、講義はリモートへと。大学生がリモートで講義を受けていることはいろいろ見聞きしていたが、教える側はどうだったのか?実際、どんな雰囲気で行われていたのか?等々、大学生が近くにいない自分にとっては興味深い話であった。

 

実際、大学に行けず、家でずっとリモート講義であった彼らの孤独や不安が、伊藤さんの話を通してひしひしと伝わってくる。そのさみしさや孤独をどうにか埋めたいと思う伊藤さんの気持ちも含め、コロナで失われた時間の大きさを知る。でも、伊藤さんの講義を聴けた学生、ちょっとうらやましいなぁ。

 

バタバタとしている日々も、コロナで少しだけ時間に余裕が出来たと思いきや、犬一匹のお世話も大変だと言ってたのに、なんと猫二匹が家族に加わるというさらに大変な日々になりそうな予感が....。

 

ということで、まだまだ忙しい日々が続きそうな伊藤さん。「初老」ではなく「ショロー」。文字通りどこか軽やかな雰囲気が漂う老人への入口。適度に休憩しながら、エッセイを書き続けてきただきたいと願っています。