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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー・感想】命とられるわけじゃない:村山由佳

 

 

 命とられるわけじゃない:村山由佳著のレビューです。

 

感想・あらすじ もみじ、お絹、村山さんの間には見えない糸で結ばれている

 

村山さんちの猫ちゃんたちのことは、ツイッターやこれまでのエッセイで十分拝見しているので、そろそろこの類のエッセイは読まなくてもいいかな...って思っていた。しかし、なんとなくこの「お絹さん」の表紙に誘われ手に取ってしまった。結果、やはり読んでよかった。面白かったです。

 

「運命の出会い」ってやっぱりありますよね。恋人、結婚相手、友人、恩師等々「この人とは不思議なご縁で...」と感じたこと、みなさんにも一度や二度あったことでしょう。その不思議な縁、これは何も人間同士とは限らない。そんなことを感じさせられたのがこの本。

 

そう、村山さんと表紙の猫ちゃんはまさに運命的な縁があったのだと思うのです。お絹さんとの出会いのことは先に言った村山さんのツイッターでリアルタイムで見ていたのでよく覚えている。村山さんのお母様の様態が悪くなった時期、村山さんは千葉の実家付近でお絹さんを見かけることになるんだけど、その現れ方や、懐き方がなにか尋常ではない。

 

お絹は半野良ちゃんで、ご近所の方にかわいがられている猫。その猫が、村山さんが訪れるたびにやって来て異常なほど甘えてくる。互いに気になり始めてからの数か月。やがてお母様が亡くなり、葬儀の準備が忙しいにもかかわらず、村山さんはお絹のことで頭がいっぱいだった。

 

そして、ついにご近所さんの了解得て、軽井沢の自宅へと連れて帰ることに。あの時、ツイッターで見ていたけど、すんなり車に乗ったお絹は、まるで昔から乗ってる車と言わんばかりの落ち着きがあり、「へー猫ってこんなに素直なんだ。」って思ったものだ。というか、本当に自然すぎて不思議だった。

 

 

 

 

 

お絹のお中には赤ちゃんも居て、やがて出産。お絹自身まだまだ子供なのに、そのお絹が2匹の子を産む。一気に猫の数も増え、村山さんちはとても賑やかに。 ....という一連の話がこの一冊に詰まっているのです。

 

村山さんは愛猫の「もみじ」を失ってから、本当に悲しみに暮れていたそう。他の猫ももちろんかわいがっているけど、もみじは良い時期もつらい時期もずっと一緒にいた猫だったから、その喪失感もかなりのものがあったようだ。

 

そのもみじの生まれ変わりのように現れたお絹。彼女のしぐさや行動はまるでもみじのようで、自分の飼い猫でもないのに驚かされることばかり。この子は別の毛をまとったもみじなのではないかと思うほど。

 

本書はペットとの関係、ペットとともに生きる覚悟とはどんなことなのか。生死、新しい命に関することを含め、いろんなことを読みながら感じさせてもらるエッセイです。

 

スピリチュアル云々と言うつもりはさらさらないということを村山さんは言う。でもね、この出会いにはなんかある、って私も感じました。その犯人はもみじちゃんだよね(笑)長く一緒にいたペットとは、本当に信じられないような出来事が起こることがある。もしかしたらそれは偶然であったり、こじつけなのかもしれなけど、それにしても.....て思うこと、わたしも経験した。言葉を持たない相手だけど、ちゃんとどこかで通じているんだよなぁ。

 

本書は猫の話が大半ですが、村山さんの私生活もたくさん描かれています。パートナーこと「背の君」さんとの結婚に至るまでの話も含め、猫以外の家族の話もかなり書かれています。一見、本の内容とは関係なさそうなタイトルも、お父様の口癖だったそうですよ。

 

ここ数年で両親と愛猫を亡くされた村山さん。お辛かったでしょうが、その分、新たな家族で人生の後半をスタートさせている。愛おしい猫ちゃんとともに、ますますのご活躍を期待してます。