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うずまきぐ~るぐる 

読書書評ブログへようこそ!読んだ本についてのあれこれを思いのままにぐるぐるかきます。

【レビュー】正欲:朝井リョウ

 

正欲:朝井リョウ著のレビューです。

正欲

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 自分が想像できる"多様性"だけ礼賛していませんか?

 

実質朝井さんの小説を読むのは今回が初めて。エッセイは本当に面白いので、新刊が出ると隈なくチェックして来たんですが、小説の方はなかなか近づけなかったのはなんでかなぁ.....。と未だに不明なのですが、今回は前評判がすこぶる良い、読んだ人の感想が意味深というか、すごいものを読んでしまった的な声が多い。これは朝井さんの小説の初読みとして良いんじゃないかと早速読むことに。

 

まずは、うん、確かにこれはちょっとすごいかも。すごいっていうか、読み終わった今、自分の感情や気持ちを、一体どこに焦点を合わせて良いのか分からない。完全に迷子状態というか、う~ん、やっぱりある種の衝撃を受けているんだなぁと感じています。

 

世の中「多様性、多様性」と叫ばれるるようになった昨今。SMAPが「世界に一つだけの花」が流行ったあたりからでしょうが。「みんな違って、みんないい」みたいな風潮が生まれたのは。

 

どこへ行っても聞かれる言葉になったせいか、個人的には少々軽く使いすぎじゃないかって感じていて、なんか暑苦しく感じていた。そんなちょっとした違和感に本書は答えを出してくれたというか、「こういう問題を軽く捉えるなよ!」と、殴りかかって来た感じがする。

 

 

 

「他人には理解しがたい部分が自分にある」という自覚がある人に対して、「話せば分かり合える」とか「あなたのこと理解しているよ」と言ったところで、果たしてそれは本当に「多様性」を理解したことになるんだろうか?

 

マジョリティ側がちょっと上から一方的に「理解がありますよ」的なことを簡単に口にすることは、なんて愚かなことか。これを読めばそのあたりをガツンとやられる。 

 

本書に出てくる個々の細かい問題についてはネタバレになるので割愛するが、とにかく自分が見えていること、理解していることは極小であることをわたしたちは知らなけばならない。世の中は自分が考えているよりずーっとずっと信じられないことで悩んでいたり、苦しんでいたり、諦めていたりする人々が存在する。「そんなこと知っている」って言う人ほど、この本を読んでみるといい。

 

「多様性」「マイノリティ」等々、改めて本質をすっ飛ばして、言葉だけが独り歩きしていたんじゃないかってことに気づかされる。

 

感想を書くにあたって、なかなか頭の中の整理が追い付かずにいたけれど、そうか、この本、結構すごい内容だったんだなって、書きながらじわじわと感じている自分がいる。なかなか終わらない宿題を与えられたような感覚がずっしりと重い。

 

朝井作品初読み、かなりのパンチを喰らってスタートを切りました。エッセイで見た朝井さんが全く顔を出さなかったとでも言おうか。力強い作家だったんだなぁと。最後に本書からパンチのきいたひとことを置いておきます。

 

「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」