50歳になりまして：光浦靖子著のレビューです。
頑張る光浦さんの未来に幸あれ！
いくら読んでも疲れない。ってことは、やはり文章が上手なんだろうな。そして、なによりも話が面白いからなのだろう。
光浦さんの話は芸能界という華やかさかからちょっと距離がある。おまけに今回はコロナ禍で書かれたものだから、本当に私たちと同じような普通の日常を綴っている。
大きな変化のないことを文章に起こすことって結構大変ですよね。誰に見られることもない個人的な日記ならまだしも、公の目に触れるものになるエッセイともなると、ことさら文章力をもって読者を引っ張っていかなければならいんですものねぇ。
とにかく普通の光浦さんの魅力が満載です。カナダへの留学が決まり、家を引きはらったと同時にコロナが始まり家なき子となった光浦さん。妹さん家族の一室に居候をすることになったその生活。気を使いながらも子どもたちとクスリと笑えるやり取りや、愚痴？っていうか、ブツブツつぶやいている様子が次々と。
他にも対人関係の話は面白かったなぁ。私もたまに光浦さんレギュラーの「ゴールデンラジオ」を聴くけど、光浦さんと大竹まことさんの微笑ましい仲とか、清水ミチコさんをはじめ交流のある女芸人さんたちとの旅行の話など、画面に映らない部分でも楽しいエピソードがいっぱいでした。コンビの大久保さんの話も興味深いです。互いに芸能界で売れる時期が微妙にズレがあったせいか、そこら辺の複雑な思いなど、コンビならではだなぁと感じます。
現在、光浦さんは無事カナダへ行くことができたみたいですね。渡辺直美さんのようにアメリカンドリーム的なものを目指すというのではなく、普通の女性たちが一時憧れた留学、語学習得というできそうでなかなか出来なかったちょっとした夢を、５０歳になってやるという光浦さん。頑張ってっていうより、思い切り学生生活を満喫して来てほしいなって思います。
そのなかでいい出会いがあって結婚へ向かうもよし、バイリンガルになって仕事の幅を広げるもよし、早々に戻って来て何ごともなかったかのように芸人に戻るもよし。そんな応援をしたいと思いました。
というか、この連載は面白いのでカナダでも続けてほしいなぁ。ラジオもオンラインで継続されるかも？って話もあったけど、どうなんだろう。ホームスティ先の老夫婦との生活を含め、またまた楽しい話が飛び出しそう。次のエッセイが読める日を楽しみにしています！
