たてもの怪談:加門七海著のレビューです。
怖いこと、いつも起これば日常になる!?
「着物憑き」は怖いと言うよりむしろ着物に関する知識をたくさん教えてもらったような本だったので、こちらはどうなのか?と、気になって借りて来ました。
はい。こちらは紛れもなく、不思議だったり、怖かったりする話が満載でした。
著者が引っ越しするにあたり、様々な角度から気に入ったマンションの部屋について調べたり御祓いしたりして住むことになるのだが、もう本当にこういうことは気になり出したらキリがないというくらいその作業は大変そう。
「事故物件じゃないか」「風水」「方位」など、今はみんなこのくらいのことは気にするのかな。でも、加門さんはそこを超えて行くからねぇ。しかも、自分の家に招かざるお客さんが来る(出た)としても、決して動じず、五月蠅い時は叱るなどして共存しちゃうところがただ者ではない。読んでいるうちになんだかこの生活が、ちょっとばかり楽しそうに見えてくる。........いやいやいや、やっぱりコワイか(笑)
興味深かったのは「ホーンテッド・スウィート・ホーム」。超旧家の友達のお宅に訪問した時の話。部屋数20室以上という名家のお友だちの家は、歴史があるだけに色々とあるのだ。まさに幽霊とともに生きて来たお友だちの様子を含め、こういうことも日常的になると、なんとも思わなくなる.....ということが会話からよく解かる。そして、これらのことも代々引き継がれていくみたいで、ちょっとゾワゾワしました。
その他、都庁の話なんかも出て来て、知らない東京の一面も知れた。そうそう、加門さん、たまに言葉がえらく汚い時がある。そこだけちょっと受け入れ難い感じだったな。