家族の味:平野レミ著のレビューです。
ベロの感覚が共通だと食卓を囲むとき楽しいでしょ
150ページくらいの薄い本ですが、にぎやかです、気づけばレミさんの声で読んでいました(笑)
「料理は愛情」ってよく聞きますが、この本を読むと本当にそうだな...ってことが溢れている。夫の和田さんに対してはもちろんのこと、お子さんたちにも並々ならぬ料理を通しての愛情がいっぱいで、いっぱいで......。行間からその愛情が溢れ出しちゃって、それが笑いや幸せとなって読者に降り注がれる。そんなイメージな一冊でした。
エッセイに出て来たレシピも同時に掲載されていく。レミさんの料理番組を見た方はご存じだと思うが、あの感じ(笑)レシピもいたってシンプルで事細かなものはない。というかね、ごちゃごちゃと調味料などに頼らず、あくまでも素材の味を引き出す料理が多いのでこうなるのかなとも感じました。
「多少失敗したって大丈夫よ!」的な感じも気楽でよい。料理が苦手な人にとってはレシピを見ると構えてしまいがちだけど、レミさんの本からはそういった息苦しさはゼロ。鼻歌でも歌っているうちに、あら出来ちゃった!てな感じなんですよね。
また、レミさんは家族の絆は家族のスキンシップならぬ「ベロシップ」と言う。「一家でベロの感覚が共通だと食卓を囲むとき楽しいでしょ。」と。これは世界平和につながると言うお話だったけど、結論もグローバル(笑)
亡くなった和田さんや、レミさんのお母さんの話などを交えながら読んで行くうちに、いい匂いが漂ってくるといった感じでした。
そして巻末には、清水ミチコさん、阿川佐和子さんたちとの鼎談。こちらのテーマは「和田誠を偲ぶ」です。在りし日の和田さんの姿が鮮明によみがえるような話の数々が登場。このメンバーですからねえ、ほんと絶え間なくお喋りが弾んでいる様子が窺えます。仲良さそう。
ということで、お料理もだけど、とにかく仲の良い夫婦だったのだなぁということが伝わってきました。相思相愛って言葉がぴったりです。そうそう、本書のイラストは和田さんです。どこまでも二人は寄り添っているのだなぁと微笑ましい気持ちになりました。
さて、鼎談も終わり、やや耳がワンワンしているような感覚(笑)さすがレミさん!
料理だけではなく、今度は本格的に歌っているレミさんのお姿を拝見したいと思いました。