銀の夜:角田光代著のレビューです。
一体、自分は何を目指し、どこへいこうとしているのだろう?
久しぶりに角田さんの長編読んだなぁ。ここのところずっとエッセイばかりだった気がします。角田さんの小説はそれほど厚みがないけれども、結構字が詰まっているのか、読むのに意外と時間がかかる。だから読み終えると本の厚さ以上に来るものがある.....というのも久しぶりに味わう感覚でした。
今回も女性たちが頑張っています。
高校時代の同級生女子3人組。彼女たちは当時ガールズバンドとして華々しくデビューするも、長続きせず普通の35歳になった。人生のピークはあの時だったと懐かしみこだわる者、過去のこととしてうんざりしている者、昔のことについての感じ方はまちまち。そんな3人は既婚子あり、既婚子なし、独身と状況は違うけど、たまに食事会をして近況を語り合う。
どんなに仲良くても、どんなにたくさん話しても、実は個々にどうしても言えないことがあったりする。夫の浮気とか、上手くいかない恋愛、子育て等々。聞いてもらいたい。言ってしまおうか?と思うもののギリギリの線で話さない。そうした何とも言えない心理描写絶妙。
40歳は目前に迫る。一体、自分は何を目指し、どこへいこうとしているのだろう?大なり小なりこんなことを悩む年代でもあると思うのです。そんなちょっと停滞した時期に彼女たちを奮い立たせ、団結した出来事が起こる。
彼女たちはそのことに一心不乱になり、久しぶりに生きる手応えを感じる。描いていた通りの人生を歩むことはなかなか難しい。35歳はまだまだ若い。彼女たちがこの出来事をきっかけに再びスタートに立てたようなラストは、希望が見い出せ清々しい。後半は結構胸に迫るものがありました。
この作品は2005年に書かれたそうです。もう16年も前の話なんですね。彼女たちも50代に突入し、今、どうしているのだろう?あの日の海の輝きは、読者の私たちの心のなかにもいつまでも残ることだろう。





