かあちゃん取扱説明書:いとうみく著のレビューです。
やっぱりかあちゃんはスゴイのだ!
おかあさんの取扱説明書があったら、怒られる回数も減り、快適な毎日がおくれるだろうと思うこどもは多いはず。なんだかそんなこどもの声が聞こえて来そうなタイトルに、思わず微笑んでしまった本書。
かあちゃんの扱い方、こんな時はこうする的な手引きっぽい内容だと思っていたら、しっかりしたストーリーがあり、なんだか笑いながら泣きたくなるような、それでいて母親の偉大さみたいなものがひしひしと伝わって来るものがあった。
前半はガミガミ怒るかあちゃんに対してのこどもの愚痴が。「おいしい」と言ったら何日も同じごはんが出てきたり、ぼくが食べたいと言った時にくれればよかったのに、ロールケーキが結局カビちゃった。ケチなんだから!....と、こどものかあちゃん観察はクスクス笑えるものが多い。
そんなぼくにとうちゃんが、かあちゃんの扱い方をチラッと教えてくれる。褒めると機嫌がいいとかね。要は扱い方なんだと。それをヒントにぼくは「かあちゃんの取扱説明書」を密かに作り始める。
かあちゃんとのやり取りの中で、ぼくは色々な発見をする。成功させるためにはかあちゃんのことを観察し、たくさん知らなければならい。次第にぼくはかあちゃんが働いているスーパーまで行き、こっそり職場でのかあちゃんの姿を見るのだが....。
ページが進むごとにかあちゃんが怒ることも減って行き、やはり取り扱説明書が効いて来たんだなぁと思わないわけでもないけど、本当のところはどうなのだろうか?
もともとはかあちゃんを攻略する感じではじまったものが、読んで行くうちに「かあちゃんのことが大好き」という空気感が漂ってくる。そうだよねぇ、こんなにもじっくりひとりの人と向き合えるのも、根底に「好き」がなきゃ難しいもの。
脇役のとうちゃんもいい味出しています。それと、友達のカズは親子関係がちょっと心配なムードを持ったこども。最後まで彼の様子も気になるところです。
さて、結末は?
かあちゃんには敵わない。
ぼくといっしょに、わたしも思わずうなってしまいました(笑)