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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】修羅の家 :安孫子武丸

 

 

修羅の家 :安孫子武丸著のレビューです。

修羅の家

修羅の家

 

 

もう何もかもが狂っている。小説で良かったと思ったが.....

 

読後感が悪いとか、後味が悪いとかよく言うけれども、それはあくまでも結論。本書は読書後というより、読書中すべて気分が悪い。

どんなに読後感が悪い作品も、普通の日常から異状が出て来るのものだけど、本作はそうした日常がない。すべてが異状な日常で、読者を決して休ませてくれないのだ。

 

ホッと一息つけたのは、読み終わってこの話が小説であって良かったっていうこと。しかし、先行レビューを見たところ、はっきりしたことは不明だが、どうもこの出来事は「尼崎事件」が下敷きになってると言う。

 

Wikipediaによると、

尼崎事件(あまがさきじけん)とは、2012年10月に兵庫県尼崎市で発覚した連続殺人死体遺棄事件。1987年頃に発生した女性失踪事件を発端に、主に暴行や監禁などの虐待により死亡したとされる複数名の被害者が確認されている。報道では尼崎連続変死事件などとも呼ばれることが多い。

 

以下の内容をざっくり覗いてみたが、ずらりと並ぶ関連事件の多さにゾッとして、思わずページを閉じてしまった。ということで、少なくともリアルにあった事件と被る内容であるということに愕然。リアルの方が小説を超えていそうな感じもするし。

 

 

 

さて、本作はレイプシーンからはじまり、虐待、精神的な支配、強盗、搾取、殺人....等々、ありとあらゆる苦痛なシーンが登場する。

 

この話を最後まで引っ張って行くのは、いくつもの家族を支配している謎の女・優子。この女が何者であるのか、とにかく不気味な存在。それと、優子に家を乗っ取られた家族の娘・愛香。その愛香を救い出そうと計画する同級生の男・北島。北島はずっと愛香のことが好きで、今回もどうにか助け出そうと試みるも、とにかく頼りない。北島がもっとしっかりしてたら、事件の行方も変わっていただろうとなぁと。

 

やぁ、、、なんともおぞましい事件だ。精神的に支配、洗脳の先にあるものからはなんの救いも見い出せないと言うか。

 

この話から思い出されたのは森功著の「黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人」この事件の異常さは、今まで読んだ事件本の中で最強だったなぁと感じていたけど、本書もこれに近い気持ちの悪さがあった。

 

尼崎事件に関しては本も出ているようだし、リアルの方はどうであったか、そちらも気になるので、いずれは読んでみようと思う。