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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【ひるまえほっと・中江有里のブックレビュー】心の風景をのぞいてみよう 2021年5月11日放送分

 

 

NHKの「ひるまえほっと」内で、女優・作家である中江有里さんが紹介した本を掲載。

番組内のコメントや私のコメントを添えて掲載しています。

 

番組コーナー紹介文

月に一度のブックレビューです。案内人は女優で作家の中江有里さん。年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介。あなたも夢中になれる1冊に出会えますよ!

 

今回のテーマは、心の風景をのぞいてみよう

 

 

ガラスの50代:酒井順子

ガラスの50代

ガラスの50代

  • 作者:酒井 順子
  • 発売日: 2020/11/18
  • メディア: 単行本
 

 

 中江さん:

ベストセラーになった「負け犬の遠吠え」を覚えていらっしゃる方、いると思いますが、当時30代だった酒井さんが50代になって、50代の女性の心身に忍び寄って来る変化や変遷を平易な言葉で綴ってくださっている。

 

共感ばっかりなんですけど、上からでもなく、下からでもなく、卑屈でない、平熱とでも呼びたいようなぬくもりをもって、ガラスのような50代女性の心を代弁してくれる。私もね、もうすぐ50代に入るんですけど、こういう先輩の言葉ってホントに心強い。指針にしていきたいような本です。

 

♥私もこの本を読みました!レビューはこちら

 

影に対して :母をめぐる物語:遠藤周作

影に対して: 母をめぐる物語

影に対して: 母をめぐる物語

 

 

中江さん:

 私は10代から遠藤周作作品のファンなんですけど、令和の時代にまさか遠藤周作の新刊を読めるとは思いませんでした。表題作の「影に対して」というのは新発見された104枚の作品で、遠藤さん自身の経験がここには裏打ちされているんじゃないかなと思います。母に対する恋慕であるとか、過去の罪の意識みたいなものが、非常に胸を締め付ける。表紙の絵も非常に印象的。

 

 

 

 

言葉である。人間である。:藤沢周

言葉である。人間である。

言葉である。人間である。

  • 作者:藤沢 周
  • 発売日: 2020/10/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 中江さん:

藤沢周さんによる書評集。75のタイトルを挙げて、古典から最新の小説まで織り交ぜた本をそれぞれ3冊ずつ紹介している。これが見事に現代社会を表しているなと思いましたし、読書の指針にもなる本がたくさんある。

 

私自身、何か知りたいなと思った時に、同じテーマの本を併読するんです。そういった意味でも興味を引かれる本が多かった。それぞれの本の核心を紹介していただいて、さらに読みたいような気持ちなりました。

 

 

ひきこもり図書館:頭木弘樹

 

中江さん:

こんなにたくさんのひきこもるという状況があるのか?ひきこもった狭い空間で物語がこれだけ広がるのか?と驚かされた。私が特にひきつけられたのは、「フランケンシュタインの方程式」です。(あらすじ紹介)

 

中江さん:

ここで紹介されている作品は全部限られた空間で起きている。ひきこもるってことは狭いところにどんどん入っていく、そういう中で人間がどういうことを考えるか、こんなにもバリエーションが出て来るんだなって部分が楽しめる。

 

私たちも今、人になかなか会えなかったり、人に触れられない状態が1年以上過ぎましたよね。この距離感が今は当たり前になっている。一日も早く昔みたいに会える日が来るといいよねって思いつつ、もしその日が来たら、元の世界に順応できるのかな?って、ちょっと考えてしまって。ここに書かれていたことに深いところで共感してしまう。 

 

 

 

大阪:岸政彦・柴崎友香

大阪

大阪

 

 

中江さん:

私は15歳まで大阪にいたんですけれども、柴崎さんとは同じ歳で、柴崎さんの書かれる大阪が非常に郷愁を覚える。同じテレビの番組を見てたなとか、そういうことも共通点としてある。

 

私は15歳までなので実は大阪のことをよく知らないことも多いんですよ。で、岸さんは大阪にいらしたのが18歳。1985年ごろ。二人で語っている大阪は大阪の生活史というか、商店街が非常に元気でね。柴崎さんはご実家が美容室。おともだちに「パーマ屋」なんて呼ばれていた。私も実家が飲食店を経営していて、会社員のお宅もあったけれども、自分の家でいろんな仕事をされている方も多かったなぁって、思い返したりして。

 

懐かしい問い部分もあるし、みなさんそれぞれのふる里を思い返すんじゃないかなと思いました。それぞれの故郷というか、自分自身を作り出してきた場所って言うのを想起する場所ってあるんじゃないかなと思います。

 

私も15で東京に出て来たんですけれども、それまで大阪の景色とか人間関係とか環境に育てられてきたなぁって思いますし、誰でもそういう風なことがおありになると思います。今はその場所はないかもしれない。15まで住んでいた街の景色も開発されて、もうない。でも、この本読んで、自分の中にあの景色がまだ生きているなってことを再確認した。心のなかの風景っていうのを訪ねる面白さって言うのをこの本に教えてもらいました。

****** 

<感想>

 「大阪」のことをよく知らないけど、この本は読んでみたいと思っていました。岸さんの描く大阪が好きなんですよねえ。ブックレビューを拝見して早く読みたくなりました。あと、遠藤周作氏の新刊は私も読みましたが、本当に良かったです。今年のマイベストになり得る作品です。ということで、中江さんとは読書傾向がかなり近いかな。今日ご紹介された本は自分も気になっている及び既読本ばかり。そういうのも含めて楽しい時間でした。

 

【過去のブックレビュー】

 

www.readingkbird.com