東京MXTVの5時に夢中!で紹介された本や映画を紹介します。
新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで、月に1度、3本ほど紹介しています。
以下は、おおまかなあらすじと、中瀬親方が話していたことを簡潔にまとめたものを掲載しています。
さて、親方はどんな本を紹介してくれるでしょう。早速見て行きましょう!
【関脇】望郷太郎:山田芳裕
■内容
大寒波襲来、壊滅的打撃、世界初期化。人工冬眠から500年ぶりに目覚めた舞鶴太郎(まいづるたろう)は、愛する家族も財産も全て失った。絶望の淵から這い上がり、理想の暮らしと生きがいを求めて、祖国「日本」を目指す。ヒトと文明の歴史をさかのぼるグレートジャーニー。人類よ、これが未来だ。━━Amazonより
(まずはあらすじ紹介)
中瀬さん:
人類が一度リセットされて、原始人社会になっているところから狩猟社会があって農耕社会があって、それで人が集まって来て村が出来て、そういうのを早回しで進歩を見るようなことを太郎は経験していくんですけど、太郎がいた御曹司とかの世界は、全くここでは関係ない。けれども彼が商社で身につけていた知恵と料理の腕がちょっとは役に立っているところが本当に面白い。
まだ4巻なんですけど、今なら追いつけるんで、一緒に太郎を見守りましょう。
【大関】Netflixドラマ:ザ・サーペント
『ザ・サーペント』予告編 - Netflix - YouTube
■内容
1970年代、東南アジアの旅行者らを次々と殺害した冷酷な殺人鬼シャルル・ソブラジ。その実話から着想を得た衝撃のサスペンス。
中瀬さん:
サーペントというのは「蛇」という意味なんですけれども、毒蛇のような狡猾な男で、しかもイケメンと言うか、チャーミングで、言葉で人を蕩かしていく、媚びいるのが凄く上手な男なんです。そのソブラジの犯行は闇から闇へ。「ヒッピーがどうせ消えたんでしょ」、70年代のバンコクなんて人が消えてもそんな怪しまれない、そういう社会の中で、オランダの大使館の書記官が追い詰めて行く。果て、どうなって行くか。
彼が犯した殺人事件の全貌はまだ解決されていないそうなんですけど、これ、実話。本当に驚いた恐ろしい事件でした。
【横綱】正欲:朝井リョウ
■内容
あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった――。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」これは共感を呼ぶ傑作か?目を背けたくなる問題作か?
作家生活10周年記念作品・黒版。あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。━Amazonより
中瀬さん:
だれもが思い浮かべるあの「性欲:せいよく」にかけているんですね。正しい欲、正しくない欲ってことがあるのか?っていうのがテーマなんです。作家生活10周年という朝井リョウさんは素晴らしい小説家で、これをもって読んだことに感謝すると言うか、読ませてくれてありがとうございますと、震えるような出会いをさせていただきました。
(ここであらすじ紹介)
中瀬さん:
どこに連れて行かれるのか、グイグイに牽引力が凄いんで、めちゃめちゃ面白い。
今、多様性を尊重する時代じゃないですか。「みんな違って、みんないい。多様性素晴しい」みたいなことが言われていますけど、「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」みたいな言葉が文中にボンと出て来る、ドキッとするような。多様性を尊重する時代に不都合がどんどんと明らかになって行く。
あってはならない感情とかはこの世にはないわけですよね。居てはいけない人間もこの世には居ない。でも、誰でも闇みたいなものを抱えている部分があって、私もこれを読み終わったあと、自分の中に隠されたものがあるんじゃないかっていうのを、掘り起こしてみたくなった。
朝井リョウさんはこう言っています。「生きることと死ぬことが目のまえに並んでいる時に、生きることを選ぶきっかけになり得るものを見つけ出して欲しい」という気持ちで書いたと。
生き延びるって言葉がキーワードになっていて、読み終わった時に、本当に語り合いたいというか、これを読んだ人を探し求めて「これについて話そうよ」って。そんな小説。ゴールデンウィークに読んで、私、感謝されるぐらいの気持ちでこれを紹介しています。傑作です。読んでください。
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朝井リョウさんの「正欲」はラジをでも紹介されていましたが、かなりのオススメだと思います。今回もかなり読んで欲しいと力説されていました。わたしも図書館に予約を入れています。読むのは先になりそうですが、これは楽しみ!
それでは、また来月!
【過去のエンタメ番付】