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【レビュー】おばちゃん介護道 独身・還暦作家、91歳母を看る:山口恵以子

 

 

おばちゃん介護道:山口恵以子著のレビューです。

おばちゃん介護道 独身・還暦作家、91歳母を看る

おばちゃん介護道 独身・還暦作家、91歳母を看る

  • 作者:山口恵以子
  • 発売日: 2018/11/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

山口さんのような気持ちで親の介護ができるのは理想的

 

子である限り、誰にでもその日がやってくる親の介護問題。
そのストレスは介護する方もされる方も相当なもの。まだ自分には経験がないですが、それでも親の出来ることは限られてきていると日々実感しているし、少しずつ自分の役割分担も増えてきた。これが本格的に介護になるとどうなってしまうのだろう....と不安も大きい。

 

作家である山口さんのお母様は91歳。介護状態で入退院を繰り返している。そして同居しているお兄様も要介護。3人のうち2人が要介護という状況に、暴力的?な猫が3匹。やぁーそれはそれは日々戦いでしょう。

 

と、思ったけれども、本書を読むとそこまで殺伐とはしていない。もちろん介護をする場面の話は大変厳しいものですけれど、山口さんの文脈から強く感じられるのは「愛情」なのです。すべてがここに集約されている。だからギスギスしない、カリカリしない。

 

 

 

小さいことは日々あるのでしょうけど、彼女の根底には「お母さんが大好き」という気持ちがある。さらに「順番」という意識がある。

 

「昔は自分がオムツを替えてもらったんだから、今度は私が母にしてあげるんだ」と。なるほど、順番って確かにだなーと思う反面、なかなか出来るものではないとも思う。しかし、この二つが介護生活する上で、気持ち的に持つべき大きなポイントになっているように思えた。そして他人の手を借りることも。

 

日記形式になっており、日々のお母さんの様子が綴られる。何を食べ、体調の良し悪しなど、リアルに記録されている。山口さんは食堂勤めしていたので、お母様の食事にもきめ細やかに対応されている。

 

老人は日々体調も変化する。元気だったかと思うと、急激に体調を崩す。明日がどうなるかわからない。覚悟しながら一日一日一緒に居られる日を大事に過ごす。そんな様子が窺える話でした。

 

この本は山口さんが大好きなお母様へあてたラブレターのようにも思える1冊もありました。すでにお母様は他界されているようですが、親子で過ごす理想的な最後の時間だったのだなぁと、本書からたくさん伝わってくるものがありました。