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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【5時に夢中!エンタメ番付】2月場所(2021年)

 

 

 

東京MXTVの5時に夢中!で紹介された本や映画を紹介します。

新潮社の中瀬ゆかりさんが番組内のコーナーで、月に1度、3本ほど紹介しています。

以下は、おおまかなあらすじと、中瀬親方が話していたことを簡潔にまとめたものを掲載しています。

 

さて、親方はどんな本を紹介してくれるでしょう。早速見て行きましょう!

 

 

【関脇】デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場:河野啓

 

 ■内容

2020年 第18回 開高健ノンフィクション賞受賞作。
両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多(くりき のぶかず)氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか?最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか?滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか。謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かす。━━Amazonより

 

中瀬さん:

いま周囲ですごく話題になっていて、みなさん栗城史多さんという登山家はご存知でしょうか?2018年の5月にエベレスト下山中に亡くなったんですけど、その最後の挑戦の記録なんですね。

 

栗城さんは凍傷で両指9本を失いながら、7つの大陸の最高峰を単独で目指した方なんです。登山動画などをSNSが話題の人気クライマーとして、エベレスト登頂の様子を生中継することをかかげて、無酸素で登れるはずのない難関コースを選択するんですね。

 

で、彼は一体なぜそこまでするのか?というのを、著者の河野さん(北海道放送のベテランデレクター)が、当時それほど有名じゃなかった栗城さんに目をつけて、彼を密着取材をするんですけど、どうしても違和感が拭えなくて、ある時期から二人は疎遠になるんです。何故彼はそこまでするのか?また、彼は本当に事故死だったのか?ということも含めて迫って行くんですけど、結構読みながら辛い、彼の承認欲求に縛られている様子とか...。

 

決して亡くなったから良いことばかりを言う人でもなくて、わりと辛辣な意見がどんどん出て来ちゃうと言う。まぁ、そんな中で彼の素顔に迫って、誰にも言えなかった秘密に迫って行く。すごく文学的なノンフィクションです。私は栗城さんに会ったこともありますし、注目していた方だったので、ある意味吸い込まれるようにこの本を読んでしまいました。すごいです。是非読んでください。

 

 

 

【大関】映画:ノマドランド

searchlightpictures.jp


 

  ■内容

企業の破綻で住居も失ったファーン。車に亡き夫との思い出を詰め、現代の遊牧民(ノマド)として季節労働の現場を渡り歩く。

 

中瀬さん:

普通に生きるという事を懸命に乗り越えながら行く。先々で色々な人々出会う。心の交流とか、誇りをもった自由な旅をしていくわけですけれども、会話が…私、涙を流しちゃった会話があって。

 

ノマドって「さよなら」って言って別れないんです。「また会おう」って別れて、また必ず路上で出会うんだってことで。あとハウスはないのだけれども、心にホームがある。生きることのすごさ、生きるってことを噛みしめる感じが、私なんかもうボーっとなって一日を過ごしてたんで、すごく自分を見直したし、喪失を抱えて生きる....高齢者が多いんですけど、そういう人たちの気持ちが本当に沁みて、本当に名画だなと思いました。是非、観ていただきたいです。

 

 

 

 

【横綱】短編小説集:ジャックポット:筒井康隆

ジャックポット

ジャックポット

  • 作者:筒井 康隆
  • 発売日: 2021/02/17
  • メディア: 単行本
 

 

■内容

嗤え、歌え、踊れ、狂え。今日も世界中が〈大当たり〉! 読者の度肝を抜く超=私小説的短篇集。コロナ禍、 戦争、 ジャズ、 映画、 文学、嫌=民主主義、 そして息子の死――。かつてなく「筒井康隆の成り立ち方」を明かす最前衛にして超弩級の〈私小説〉爆誕! 亡き息子との〈再会〉を描いた感動の話題作「川のほとり」収録。━Amazonより

 

中瀬さん:

 日本の文学の最先端を行っている先生が、今回コロナとか、戦争とか、音楽、映画、いろんなことを描いている。その中で私もう...原稿を読んだ時に、原稿用紙が涙でまみれてしまったくらいだったんですけど、先生の息子さんが亡くなられたんです。その息子さんとの再会を描いた「川のほとり」という本当に短い作品なんです。絵描きの息子さんに会うんですけど、主人公の先生はこれは夢だとわかっていても、そのままそこで言葉を交わして行くんです。それは決して悲しいそうに書いているわけではなく、淡々と書いているんですけど、これがものすごい沁みると言うか。これだけでも読んでいただきたい。もちろん筒井康隆はそれだけで終わらせてない。

 

 とにかく、いろんな作品があり、どれが好きかって選べないくらい、筒井康隆ワールドがこの中に広がっています。86歳にして初の超私小説を書いたと言われているんですけど、86歳の作品、こんなに若々しくて、まだまだ切り開いていく感じが溢れている。是非、読んでいただきたい名短編集です。初めての方もぜひ手に取ってみてください。

 

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なんだろう、今日のエンタメ番付けはすごくしっとりした雰囲気でした。周りのみなさんもしんみりと。本日選ばれた作品は全部、心にずしっと来そうな内容だったからかな。CM明けは見事にそんな雰囲気も吹き飛んでましたけど(笑)筒井康隆さんの小説、もう随分読んでいないなぁ。久しぶりに読んでみようかな。

それでは、また来月!

 

 【過去のエンタメ番付】

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