真夜中のたずねびと: 恒川光太郎著の感想です。
感想・あらすじ うーん、気が滅入るなぁ。。
今までの恒川さんの作風と同系列なのか?と訊かれたら、きっとそうなのかもしれない。けれどもわたしには何か違う作家の本を読んでいるような気持ちになったという作品で少し違和感があった。
なにが違うのかを答えるのは難しいのだけれども、とにかく読むのが苦痛だったし、救いがない話が多く、やるせなさが心に積もり続ける感じが....。
あと、人が殺される話が多かったせいか疲れるし後味が悪い。いつものように、ノスタルジックで幻想的な不思議世界というものより、深い闇の中に生きている人々の世界に連れ込まれてしまったような居心地の悪さがあったのは否めません。
5つの短編は、ちょっとずつ繋がっている。印象的だったのは加害者の家族にまつわる話かな~。家族のひとりが事件を起こしたことによるその家族のその後の姿。これはいつか読んだ「加害者家族」という本を思い出した。
家族の一員が起こした事件で明日が一転してしまうということの怖さ、家族に犯罪者がいることによって抱えてしまう闇の中での生活等々、こちらは物語とは別に色々考えさせられた。
全体的にサスペンス的要素もあるのだけれども、きっちり結論がでるような話でもなく、そのあたりはいつもの感じでしたが、やはり殺人の話が続くと気が滅入ります。こういう作品は、自分とのコンディションが合えばいいのですけどね。コロナだなんだで、世の中暗いニュースが多い中読むとなると、気持ちが一層重くなったのも確か。
ということで、波長が今回は合いませんでしたが、次回はぜひまたあの不思議世界へ連れて行ってくださいませ(笑)
「真夜中のたずねびと」について
出版社 : 新潮社
発売日 : 2020/9/16
単行本 : 269ページ
サイズ: 13.9 x 2.3 x 19.7 cm
文庫版