駄目な世代:酒井 順子著のレビューです。
ダメな世代の事態とは?色々言われるけど愛おしい時代!
「最後の昭和人」「昭和の最下級生」という甘えの空気が漂ってはいないか?
筆者の酒井さんはいわゆるバブル世代。就職氷河期とは真逆で就職もさほど苦労することなくできた世代です。本書に書かれている内容はそんな恵まれたバブル世代の歴史を振り返るかのごとく、その実態を細部まで覗いて行きます。
さて、この世代、本当に駄目駄目世代なのか?確かに恵まれた社会人スタートだったと思う。かくゆう自分もバブルの恩恵を受けた。社会人生活ってこんなにも豊かなものなんだ......と当然のことのように甘受していた。しかしそんな豊かな時代も過ぎ、いつの間にか不景気へ向かう。
当然だったと思っていたことがなくなったり削られたり。浮かれ時代に終止符が打たれてしばらくしたころ、世の中が変わったことに気づいたという。
幸か不幸か、良い時代を知ってしまった我々は、それが基準となってしまった感はある。現実に目をつむってもいられず、現実を受け入れなければならないけれども、どこか今もあの時代と比較してしまうことが多い。
当時もっと堅実な生活をしていたらなぁ.....とたまに思う。車、バイク、グルメ、海外・国内旅行、ありとあらゆる場所で遊び惚けて散財していた。もちろんそれらに悔いはないのだけれども、こんな世の中になるんだったらもっと計画的に生きたのに~と。
その点、今の若者世代はちゃんと先を見据えて堅実な生活をしている人が多いと聞く。嗚呼、そうなのだ。長期的な目で見るということなんてせず、その日その日の楽しさに埋もれていたような気がします。
そんなちょっと浮かれ、甘えた雰囲気のある世代の我々が生きて来た時代とはどんなものであったか?当時のテレビ番組やアイドル、デジタル、流行り物等々を通して酒井さんが考察しています。読んでいると次々懐かしい光景が広がり思わず笑ってしまう。
酒井さんも言っていますが、昔、おばあちゃんが明治・大正・昭和と3つの世代を生きてきたことに驚いていたけど、私たちも昭和・平成・そして令和と生きています。まぁ、なんと言うかびっくりですなぁ。
おばあちゃんの世代ってチャラチャラしてたんだね......と言われ兼ねない駄目な世代ではあるけれども、本書を読むと愛おしいものが沢山ある世代でもあるのです。
最後に酒井さんから同世代を「駄目な世代」にしてしまったことへのご挨拶が(笑)うん、解っています、酒井さんのお気持ちにこの世代にたくさんの愛情があることを。