すみれ屋敷の罪人: 降田天著のレビューです。
お屋敷から発見された白骨死体、一体誰が?
ミステリーがやや苦手なわたしですが、「すみれ屋敷の罪人」は、程よいボリューム、そして、程よい登場人物の人数といった感じで、無理なくラストまで読むことが出来ました。何といってもお屋敷ミステリーですからねぇ。優雅な雰囲気も味わえて良かったかな。
とは言え、内容はやはり物騒な事件です。戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された白骨死体━━と来れば、一気に雲行きが怪しくなるではありませんか。
この死体は一体だれなのか?当時の使用人や女中を辿り、その証言から徐々に明かされていくわけだけれど、見えそうで見えない、このチラチラした感じが絶妙で、徐々に目が離せなくなるといった展開です。
それほど複雑な内容ではないのですが、一人の証言が終わると「調査報告」というメールが記載されます。調査の依頼主へ宛てたものなのですが、これらがあることによって頭の中が整理されて次へ進めます。これは親切!
登場人物は屋敷の三姉妹とその父親。女中や使用人、書生が主な人物。死体はこの中の人物なのか?誰がなんのために死体を埋めたのか?
「おおぉ!そうなのか」という目の前が開けるような驚きが、確か2-3カ所あった。皆が皆、なにか秘密を握っている雰囲気がある。やぁ、、もどかしい。
ネタバレになるので内容にはあまり触れませんが、後半へ行くほど、父親の秘密や人々の繋がりの深さ、そして、姉妹の行方が明らかになり、ヒューマンドラマとしてもジワジワくるものがありました。
降田天さんの作品、初めて読みましたが、相性がいいかも。複雑なミステリーが苦手な方、是非、トライしてみてください。あと、メイドもの、お屋敷ものが好きな方も是非。