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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【感想・あらすじ・レビュー】大きな鳥にさらわれないよう :川上弘美

 

 

大きな鳥にさらわれないよう :川上弘美著のレビューです。

 

感想・あらすじ 川上弘美の「新しい神話」とは?

 

まずはあらすじを。

遠く遙かな未来、滅亡の危機に瀕した人類は、「母」のもと小さなグループに分かれて暮らしていた。異なるグループの人間が交雑したときに、、新しい遺伝子を持つ人間──いわば進化する可能性のある人間の誕生を願って。彼らは、進化を期待し、それによって種の存続を目指したのだった。
しかし、それは、本当に人類が選びとった世界だったのだろうか?
絶望的ながら、どこかなつかしく牧歌的な未来世界。かすかな光を希求する人間の行く末を暗示した川上弘美の「新しい神話」━Amazonより

 

難しかったなぁ、いろんな意味で。この物語の輪郭がどうにか解った(ような)気がしたのは、最終章の「なぜなの、わたしのかみさま」での会話から。これまでの話がぼんやり繋がった感じはするのですが、それでも理解したとはとても言い難い。おそらく、もう一度読まないと、この「?」な感じは消えず、すっきりしないかもなぁ。

 

「神話」って理解するのが難しい不可思議なことが多い。この話も川上弘美の「新しい神話」と言われているように、そういう、ぼわぁ~~~とした空気に包まれてしまったような感覚が残った。

 

  

 

もう生きないで、いい。母たちは決めたの。人間は、変われない。いつか変わる可能性があるかもしれないと、母たちはずっと期待していたのだけれど、だめだったのね、結局。長い時間がかかったわ、人類が誕生してから、ついに絶滅するまでには、何十万年も。まあ、ひとつの種の生命としては、さほど長いものじゃなかったけれど、それでも母たちがいなかったら、もっとずっと短い命だったにちがいないのよ。

 

人間は、愛しあって、憎しみあって、争って....をずっと繰り返してきた。そこから新しところへ行けばいいものの、何度も同じことを繰り返す。それでもこれまで希望を捨てずに来たわけだが、それもそろそろ終わり。最終章ではそんな人類の消滅を匂わす会話が続いている。

 

拙い解釈にはなりますが、どんなに人類を存続させても、争いや憎しみを繰り返すことへの嘆き、そして、世の中に向けての警鐘のような思いがこの物語には含まれているのではないかなーと感じました。

 

ということで、川上作品はこういうパターンも結構あるんですね。最近読んだ「」もこのグループ。私的には「センセイの鞄」や、「真鶴」のような、人間ドラマやちょっと幻想っぽいものを描いた作品の方が好みです。今回はタイトルが面白くて読みましたが、ちょっと自分には難しかったなぁ。レビューは書けないかなーと思ったけれども、なんとか・・・(笑)

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