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【レビュー】老いの楽しみ:沢村貞子

 

老いの楽しみ:沢村貞子著のレビューです。

老いの楽しみ (ちくま文庫)

老いの楽しみ (ちくま文庫)

  • 作者:沢村 貞子
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫
 

 

老後の暮らしはこんな風に生きられたらいいなぁ。せめてマインドだけでも。

 

 

生き方は人それぞれ。だからお手本なんてあるわけないんだけれども、沢村さんの本を読んでいると、背筋が伸びるというか、きっちり生きるってきっとこんな感じなんだろうなぁと思ってしまう。

 

特に引退後の生活は、どこか「正しい老後の暮らし方」といった雰囲気で、誰にでも出来そうだけれども、意外に難しいかもなぁと感じさせられる。

 

その一つに引っ越しがある。何十年も慣れ親しんだ土地を処分して、海の見えるマンションにあっという間に引っ越した沢村さんご夫婦。「海の見えるところ」。ご主人の一言から、家探しをして、一気に家のなかを整理して、引っ越してしまったのだ。

 

この行動力と判断力。若くたってこれら一連の作業は腰が重くなるのに、80過ぎのご夫婦が、一気にこのハードルを越えて、新しい生活に向かったのだから驚いてしまう。

 

色々ごちゃごちゃ考えずサッと決めて、サッと動いたというフットワークの軽さに、ただただ脱帽です。結果、二人が手に入れた海の見えるマンションでの自由な生活は、本当に穏やかで豊かな時間だったということが窺えます。

 

  

 

下町で過ごした子供時代の話、女優時代の話、老いとの向き合い方、日々の暮らし等々、サラッと話されている雰囲気ですが(押しつけがましさがなく)、とてもためになることが多い。また、ご自身のことを本当によく解っていて、それを隠しもせずにありのままをさらけ出している感じが潔くて格好いいんだなぁ。

 

小綺麗、小ざっぱり、で、小憎らしいことは言わないようにして

沢村さん、「小」のつく言葉が好きなのだそう。なんとなく沢村さんのお人柄が見え隠れするような話だなぁーと思いました。

 

本書後半は河合隼雄氏との対談があります。これまた意外な組み合わせですね。話が弾んでいる様子が判る感じで楽しかったです。

 

ご主人を見送り、87歳で亡くなった沢村さん。そう考えると海の見えるマンションは10年も住めなかったわけだけれども、夫婦揃って理想の暮らしを叶えたという意味でも、幸せな晩年だったのでしょう。

 

まさに仕事も生活も無駄なくきっちり生き抜いた人。とうてい真似できませんが、また気持ちをシャッキとさせたくなったら、貴女の本を読みにいきます!