秘密の道をぬけて:ロニー・ショッター著のレビューです。
感想・あらすじ 逃げる家族、かくまう家族。奴隷制のあった時代とは?
アメリカ中を巻き込んだ南北戦争が始まる11年前のお話です。
奴隷制のあった時代とは?
ある晩、主人公の少女アマンダの家の前に馬車が止まります。
そこに現れたのは、黒人一家。
偶然、目を覚ましたアマンダはその情景をを目撃してしまいます。
彼女の家には彼らをかくまうための秘密の部屋が用意されていた。
彼らはここで休憩し、自由の国、カナダを目指すのです。
両親は逃亡奴隷を逃がす組織「地下鉄道」の駅長をしているのという秘密を、アマンダはこの時はじめて知ることになる。
本書ではアマンダと、逃亡家族の娘ハンナの交流から、新しい未来が見えてくるような光景が広がる一方、人々を苦しめる奴隷制度の実態がなんとも痛ましく伝わって来てる。
逃げるハンナの家族、かくまうアマンダの家族。
どちらも見つかったら大変なことになることは容易に想像がつく。
しかし、そんな中でもこっそり外へ飛び出すアマンダとハンナ。
途中ハラハラさせられる場面もあったけれども、彼女たちはこの数時間でしっかりと友情を育んでいる。
登場する人々は、肌の色なんて関係なく素敵な大人と子供たちです。
こんなにも素敵な人々を苦しめた制度。
そして、勇気を振り絞って長い道のりを逃げ切った家族が得た自由とは。
それはラストに見るキラキラした一通の手紙に全てが詰まっている。
ロニー・ショッターについて
1946年、ニューヨーク市生まれ、ロードアイランド州ポータケット育ち。ニューヨーク大学卒業。児童書編集者を経て作家に。絵本からヤングアダルトまで幅広いジャンルで20冊をこえる作品を発表している。ペアレンツチョイス賞をはじめ、数多くの賞に輝く。ニューヨークの北にあるヘースティングオンハドソンという小さな村在住(Amazonより)