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【レビュー】輪舞曲:朝井まかて

 

輪舞曲:朝井まかて著のレビューです。

輪舞曲

輪舞曲

 

 

 「四十になったら死ぬの」が口癖だったという女優・伊澤蘭奢

 

ものすごく楽しみにしていた1冊。メディアでも評判が良かったし、大好きなテーマである女性の生涯を描いたものだし、読む前から期待が膨れ上がっていた。手にしたときの喜びはそうれはもう(笑)

 

各方面からの紹介をもとに、本書の主人公である女優・伊澤蘭奢は、以前読んだお蝶夫人のような人に違いない、だから情熱的で濃ゆい女の人生をきっと見せてくれるはずと、勝手に想像していました。

 

なにせ彼女人生を偲んで4人の男性たちが彼女のことを振り返るという内容だもの。しかもその男たちというのが、蘭奢が人妻であった時の不倫相手・福原駿雄駿、愛人(パトロン)の内藤民治、帝大の学生だった福田清人、津和野に残してきた息子の伊藤佐喜雄というメンバー。なんだかすごいことになりそう!

 

蘭奢の死後、内藤が彼女の遺稿集を出したいと、このメンバーに話を持ちかける。全員が顔を合わせるところから話が始まり、やがて各々から見た、その時その時の蘭奢の姿が浮かび上がってくるわけだが・・・・。

 

 

  

 

この時代の演劇界や文壇などの雰囲気は幾分伝わってくるのだが如何せん、一番の主人公である伊澤蘭奢の魅力がひまひとつ伝わってこなかったし、この4人の男性たちも然り。私にはなんだか、わちゃわちゃしているうちに話が終わっていたといった印象で、全く入り込めなかった。

 

松井須磨子の舞台が忘れられず、夫と子を捨て出奔した蘭奢。初めはそんな思い切りのある女性にハラハラドキドキさせられたのだけど、今思えば自分が前のめりなって読めたのはここがピークで、あとはただ文字をなぞっていただけといった感じだったなぁ。

 

ということで、不完全燃焼!と言いたいところだけれども、平民食堂の親爺さんの話が、見事に蘭奢の人生に花を添えた形になり、良い話で終わっている。親爺さんの話は、とても個人的ではあるのだけれども、何よりも心に残った。そして、女優という存在の意味も深く感じられる話であった。

 

「四十になったら死ぬの」が、口癖だった蘭奢は、本当に40手前で亡くなったと言う。人間模様も含め、蘭奢の内面をもっと探ってみたい、読後にそんな気持ちがくすぶっている。