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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ぞぞのむこ:井上宮

 

 

ぞぞのむこ:井上宮著のレビューです。

ぞぞのむこ

ぞぞのむこ

  • 作者:井上 宮
  • 発売日: 2018/07/27
  • メディア: Kindle版
 

 

 「漠市」はダメ! 絶対関わってはいけない!!

 

この本、あまり話題にならなかったのかな?著者の名前も初めてだなぁと、略歴を見たら、井上さんは主婦で、「ぞぞのむこ」はデビュー作だと言うじゃないですか!ホント驚きました。さらに第10回小説宝石新人賞を受賞と来ている!2度ビックリしました。

 

というのも、ホラーはちょこちょこ読んでいますが、「ぞぞのむこ」、かなりレベルが高い!怖さのレベルがぶっ飛んでいます。

 

「漠市」にまつわる5つの短編です。それらのタイトルは.....

 

ぞぞのむこ
じょっぷに
だあめんかべる
くれのに
ざむざのいえ

 

もうタイトルからして意味不明なんですよねぇ。とにかく読んで行くしかない!

で、不気味な話、一体どうなるのか知りたくて先を急ぐのですが、結局、巻き込まれたまま放り出されちゃったなぁ....と言った感じ。解決を求めてはいけないタイプの怖さのようで、今もなお、この話はどこかで続いているのだろう....と思わせる、心底ゾワゾワする内容なのです。

 

  

 

登場する人々は年齢も職業もみんなバラバラで共通点はない。ただ、なんらかの形で「漠市」と関りをもったばかりに、容赦なくなにかにやられてしまうという恐ろしい話。

 

では、「漠市」ってどんなところなの?これも結局のところ謎が多すぎる。基本的には「漠市」に立ち入らない方がいいのだけれども、なんらかの事情で足を踏み入れてしまった人々は、次々と何かにとり憑かれ、待っていたかの如く狂っていく。最初はなんてことなかったことが、どんどん状況が悪化していく描写が絶妙で、「もう。。。ホントコワイってば!」と唸ってしまった。

 

同じ顔の人が44人いるとか、「漠市」から帰ったらすぐに手を洗わないといけないとか、なんとも不気味な「漠市」。

 

あまりにも不明慮なことが多すぎるのだけれども、唯一の頼みは矢崎という一人の青年。この青年は各話に登場する。彼はかつて「漠市」に住んでいたことがあるという。矢崎自身もそれほど「漠市」について知っているわけではなさそうだけれども、彼からのアドバイスは貴重なものになる。

 

「漠市」を人々が制覇するという明るいゴールはまったくもってないし、むしろ被害者が増幅していくままとなってこの本を閉じたわけだが、ラストがよく解らないというストレスが不思議とないのがこれまた不思議。

 

早く様々なことを知りたくて、超スピードで読んだけれども、出口はなかったように思う。とにかく「漠市」はダメ!関わっては絶対ダメ。そして、手洗いは必ずしないと大変なことになる。これだけは覚えておこう。

 

ということで、井上宮さん、まだ新刊は出ていないようですが、次作もかなり期待しています。さて、今年の夏はあと何冊ホラーを読めるかな?