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【レビュー】たのしい暮しの断片(かけら):金井美恵子

 

 たのしい暮しの断片(かけら):金井美恵子著のレビューです。

たのしい暮しの断片

たのしい暮しの断片

  • 作者:金井 美恵子
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2019/01/25
  • メディア: 単行本
 

 

想定外!「姉妹の本」は、ちょっとおだやか

 

金井さんと言えば「お勝手太平記」でかなりの苦行を強いられただけに、時間も心も万全な時に挑まないとならないという妙なトラウマがありまして・・・。読みたいけれども、読むのを躊躇する。そんな作家さんのひとりということもあり、本を開くまでかなり緊張した。

 

そんな様々な考えは、最初の一編を読んだらあっという間に吹っ飛んでしまった。何がって、読み易い。「あれ、金井さんって違う金井さんなのか?」と思っていしまうほど、読み易い、読み易くなっている。「えぇーいいの?」って、なんだか拍子抜けするほど。

 

しかも金井さんのお姉さま、久美子さんがイラストを担当。色彩豊かな可愛らしいアート作品がとてもマイルドで、愉しんでいたら読み終えてたという、金井作品ではあり得ないことにキョトンとしてしまいました。あの読者泣かせの圧倒的な句点の少なさの息継ぎ出来ない文体は何処へ?

 

 

 


金井さん姉妹の日常のエッセイです。
日用品、美容、美味しいモノ、猫、料理、等々・・・自分より年上の女性の楽しいお話を聞いている感じで軽快に読むことが出来ます。興味深いモノがたくさん登場するので、その都度、ネット検索に走るという時間もまた楽し。「お勝手太平記」をちょぴっと感じさせられような話もあると言えばある。

 

しかし今回は「姉妹の本」と言ったスタンスで、「私」より「私たち」と言った言い回しが多かったのも印象的です。

 

「暮らしの断片」「あそびの記憶」の二部構成。「あそびの記憶」では懐かしい昭和の風景を堪能。


レンゲ、シロツメクサ、タンポポで作るかんむりや首飾り。「無駄で豊かな時間の短さ」というフレーズに納得。とても短い話でしたが、野原のあたたかさと匂いが蘇るいい内容でした。

 

ということで、読み終わる頃には、身構えていたことなどすっかり忘れ「金井美恵子克服」的な気分になっているが、そんな生易しい作家でないことは薄々感じているので、次作も気を引き締めて行こうと思う(笑)