うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】遠の眠りの:谷崎由依

 

遠の眠りの:谷崎由依著のレビューです。

遠の眠りの

遠の眠りの

  • 作者:谷崎 由依
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 単行本
 

 

どこか少女小説のようでもあり、見どころもたくさんあるのだけれども......

 

 

いろいろなメディアで紹介されていて、それを目にするごとに期待を高め、楽しみにしていた一冊です。新聞書評欄にも掲載されていて、こちらのサイトでも紹介しています。

 

女工、モダニズム、活字、恋愛等々、好奇心をそそられるワードが書評に散りばめられていたので、これはもう好みの小説でしかない!と。しかも表紙もレトロで素敵です。

 

さて、読み始めてみると確かに面白くなりそうという雰囲気が詰まっています。

しかし、なんとなく展開がもったりしているのは気のせいかな。設定も雰囲気も至って悪くないのだけれども、ずっともったりしている。これはなんだろう?

 

時代は大正の終わり、舞台は福井の農村。まだまだ男子が大切にされている時代で、主人公の絵子の行く末は、嫁に行くことくらいで、夢を描くことが難しい社会であった。

 

旅籠屋の裕福な家庭の娘・まい子と出会い、文学に触れる楽しみを知る絵子。やがて、親といさかいを起こし、家を飛び出し人絹工場の女工になる。

 

女工になったけれども、不器用ゆえになかなか稼ぐことが出来ず、新しくできた百貨店で、たまたまそこの支配人と話す機会があり、雇ってもらうことになった。彼女はその百貨店で催されている少女歌劇団の「お話係」として活躍することになるのだが・・・。

 

 

 

親友との確執、恋愛、「青鞜」などの影響を受ける新しい女たち等々、絵子の周りにいる人々の生き方もまた見どころが多いわけだが、この話の主である絵子自身はどうなのかな?って考えると、なにか「ふわっ」とした印象しかないのがちょっと期待外れ。読者的には、せっかく家を飛び出してしまったわかだけだから、揺るぎない確固たる信念のようなものを、もう少し強く押し出して欲しかったなぁと。

 

女工も少女劇団の方も、結構な勢いで始めるのに、最終的にはなんか馴染なくてうやむやになってしまう感が。大きな成功を手に入れてほしいと願うのは、読者の勝手な願いではあるのですけれどもね(笑)まぁ、何と言っても若い絵子と、まだまだ開かれていない社会だったわけだから、そこまで望むのは無理な話なのかな・・・。

 

婦人解放運動や戦争などハードな内容を交えながらも、少女小説のような雰囲気もあって、とても興味深い内容なのですが、どちらも描こうとしてちょっと散漫になった印象が残りました。

 

と、ちょっと辛口になってしまいました。

「シンデレラストーリーとは無縁の物語である」と、文芸評論家の斉藤美奈子さんはおっしゃていたことを思い出す。やはり、主人公に期待し過ぎは禁物であった。