死刑囚メグミ:石井光太著のレビューです。
感想:石井さんの小説!?とても小説には思えないリアリティ満載
いやぁ・・・ページをめくるごとにどんどん雲行きが怪しくなっていくとでも言おうか。普通に暮らしていたのに、最終的には死刑囚......という展開。背中がゾクゾクするような怖さが襲ってくる。
石井光太さんと言えばノンフィクション。なので、今回もなんの疑いもなくノンフィクションだと思って読んでいましたが、途中で気になり調べてみたら、本書は「骨太社会派エンタテイメント小説」と言うじゃありませんか!実話でなくて良かったと思う反面、石井さんは小説も書かれるのか~という驚きも大きかった。
ということで「小説」ではありますが、とてもリアリティのあるお話です。
海外の空港で「人から荷物を預からないでください」という注意喚起、よくありますよね。わたしもタイの空港で何度も何度もこのアナウンスを聞きました。その時は「なんで人の荷物?預かるってどういうこと?」って思ってましたが、考えてみれば「知らぬ間に」ってことだってあり得るわけで・・・。本書を読んでいてあの時のアナウンスが蘇って来て、改めて怖いなぁと感じました。
本書の主人公「メグミ」は貧しい家庭で育ち、看護師になるため、田舎から東京にやって来た。多額の借金を抱えていた彼女は、看護師のかたわらキャバクラでも働いていた。そんな彼女、同僚の看護師に誘われたパーティーで、とある社長と知り合い、借金地獄から救済してもらう。たまたまそのパーティーで知り合ったイラン人とも仲良くなり、その後、恋人関係へ。
このパーティーを境に彼女の生活は一変する。
本書は彼女がなぜ覚醒剤の密輸の罪によって死刑判決を受けることになったのかを追う。まるでミステリー小説を読んでいるような不可解な話から、次々明かされていく人間模様等々、なかなか目が離せない展開で、ほぼ一気読み。
国際犯罪の恐ろしさだけでなく、国籍、友人、家族、恋愛などが複雑に絡み合い、どうにか助け出せないかと糸口を探る。
人の転落、絶望に陥っていく姿が如実に描かれている。また、ひとつの国の出来事が、波紋のように世界に広がっていくということの怖ろしさも感じさせられました。
今回の救いは、やはり人と人の繋がりや絆が確かに存在していたことです。同級生、母親、そして少年。最初は微力であった3人でしたが、やがてメグミを救う大きな力になって行く様子こそが明日への希望となり、とても救われた気持ちになりました。
ということで、「おいしい話には何かある。」ということ、肝に銘じましょう。たった1度でも話に乗ったばかりに・・・ってことは日常茶飯事的に起きていますが、普通の人が死刑囚までになってしまうこうともあるということを、この話から学ぶことが出来る。もはや決して他人事ではないのです。





