ここでしか味わえない非日常の世界!:日経 ナショナルジオグラフックのレビューです。
ごった煮的、混沌とした写真集に目が泳ぐ
こういった写真集がかなりの頻度で出版されていて、そのたびに好奇心を刺激され、見てしまうということを繰り返しています(笑)この類の写真集は当たりはずれが結構あるので、もう少し様子を見てからにしようかな?と思っていたのですが、やはり、好奇心に負けたーーー!
「非日常の世界」「いったい何をしているのか!?」━なんてもう、タイトルだけで絶対見たくなるのが人の常。というわけで、まんまと釣られたという敗北感が。
とにかくこの本自体がカオスです。一応以下のような括りで、交通整理はされているものの、見始めたらなにがなんだか。全世界からありとあらゆるインパクト強めの写真が目に飛び込んでは消えて行くといった状態で、その括りなんて忘れてしまう。人あり、動物あり、物あり、自然、建物、風景、日常・・・・等々が、次々に現れます。
以下、その構成。
■序文(マーク・ティッセン)
■混沌
火山雷/サメの海/旧正月/色とりどり/ホーリー祭/寺院廃墟/クラゲの海 ...など46点
■驚嘆
サンルイスオビスポ/砂上のシルエット/巨大な観光客/飛行機廃墟/川床/頭蓋骨/ヴェルジェの行進 ...など42点
■美麗
大世紀/万華鏡/花嫁の時間/おしゃれな紳士たち/グランドモスク/雪原の影/田園風景 ...など51点
■畏怖
魚の輪/ウルビ・エト・オルビ/大時化/少林寺の武僧/シルク・ドゥ・ソレイユ/フリースタイルモトクロス/爆発の名残 ...など45点
大雑把な感想になりますが、やはり人口の多いところからは、それだけ人の「気」のような大きな何かが伝わって来る感じがします。
例えばバングラディシュの「キップのない人」という写真。これは電車の屋根の上に人が乗っているという写真。何度かテレビ番組でも同じような光景を見たことがあったけれど、こうして写真として細部まで見ると、やはや、言葉を失うほどの迫力。ただただ「凄い光景」なのです。
自然界などの珍しい写真もたくさんありますが、やはりこの本から感じたのは、人が大勢いるところの迫力には敵わないといこと。
また、もの好きな人々がいるもんだ・・・と思ったのはイタリアのモンテピアーナの写真。スラックライナーと言う人々が登場。彼らは目もくらむような高さの場所で一晩過ごすという。ただ過ごすと言ってもハンモックで過ごすんだそう。もう、恐ろしいとしか言いようのない写真。
我が国、日本の写真も数枚掲載されています。写真だけ見ると、日本だと気づきませんでした。こちらも結構な迫力でした。
ということで、なんだか一気にいろんなものを見せられちゃったなって感じです。どれもスゴイのだけれども、スゴイがいっぱい集まると感覚が麻痺しちゃうのか、普通に見えてくると言うか(笑)
たしかに「ここでしか味わえない」感じはします。なんだろう、変な夢を見たあとのような気分です。とにかく印象的だったのはやはり「人」かな。人の持つエネルギーが滾ってる感じの写真にちょっと「人酔い」しました。