向田邦子の本棚:向田邦子著のレビューです。
「向田邦子が選んだ食いしん坊に贈る100冊の本」のリストは必見!
年イチ向田邦子です。ちょっとご無沙汰しているなぁと思うと、新たな向田本が出てくる現象?みたいなものをいつも感じます。ファンとしては嬉しい限り。亡くなって何十年も経つのに、色々な形で出版される向田本。根強い多くのファンが居ることを、出版社も把握しているのでしょうね。
毎年こういった形で読む向田さんの本。今や読むと言うより会うといった感覚。掲載されている写真も文章も知っているものが多いから退屈じゃない?と思われそうだけれども、そんなことは全然なく、クスクス笑ってしまう感じに「あー向田さん、相変わらず楽しい人だなぁ」と、微笑ましい気持ちになれるのです。そして、何度も見た向田さんちの部屋や猫たち。こちらも久しぶりに会う感じ。不思議なものです。
さて、今回は「向田邦子の本棚」がメインです!「向田邦子が選んだ食いしん坊に贈る100冊の本」のリストを元に、実践女子大学図書館・向田邦子文庫に所蔵されていた本などを集め、紹介文を付けたものがずらりと並ぶ。
「食いしん坊に贈る」・・・ヤバそうです(笑)古本屋さんで探さなければならない本から、今でも書店に並んでいる本まで様々です。どれもこれも読みたくなるものばかりです。既読の本も数冊ありニヤニヤ。向田さんにはもう会うことはできませんが、向田さんが読んだ本は、私たちも読むことが出来る。本はこうして亡くなった人と同じ時間を過ごさせてくれるんだなぁと、なんだか嬉しい気分に。
その他、旅や猫に関する本も。ここに差し込まれている短いエッセイがやっぱりすごくいいんです。
アマゾン河は濃いおみおつけ色である。
なんとも向田さんらしい表現。
「旅も恋も、そのときもたのしいが、反芻はもっとたのしいのである」
この一文もなんだかいいなぁ。昔読んだ時より今の方がこの感じがより一層理解できる。
ということで、ここではざっくり紹介しましたが、まだまだいろんな形で本にまつわる話が登場します。なかでも久世光彦さんの「私立向田図書館」のエッセイはとても面白かった。インターネットのなかった時代。解らないことを調べるのも今みたいに容易ではなかった。そんな時、久世さんは向田さんを頼りしていたそう。なんだか向田さんは昭和のWikipediaみたいな人だなぁと(笑)向田さんの人柄が窺えるなんとも良いエピソードでした。
今年は早くも向田本を読了。小説の方は日々新しい本に追われてなかなか再読まで手が回りませんが、こうして毎年少しでも貴女の文章に触れられることは本当に幸せであります。それでは、また来年お会いしましょう。