NHKの「ひるまえほっと」内で、女優・作家である中江有里さんが紹介した本を掲載いたします。
番組コーナー紹介文
月に一度のブックレビューです。案内人は女優で作家の中江有里さん。年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介。あなたも夢中になれる1冊に出会えますよ!
■一億三千万人のための『論語』教室:高橋源一郎
『論語』は古いし難しい、そう思っていませんか?そんな先入観を吹き飛ばす本がついに刊行されました!高橋源一郎さんが20年の歳月をかけた省略なし、完全新訳の『論語』が誕生です。
(孔子)センセイがいま、突然、ぼくたちの前に現れ、世界でなにが起っているかを知ったら、きっと、こういったと思います。「やれやれ、わたしが生きていた頃とほとんど変わってないんだねえ」これから始まる、この『論語』教室は、「超訳」でも、ぼくの創作でもありません。ある意味で、これ以上、厳密な翻訳はないんじゃないかと思っています。なにしろ、あんなに時間がたっても、(孔子)センセイの『論語』はまったく古びていなかったんですから。(「はじめに」より) Amazon内容紹介より
ハードルが高い「論語」。それを解りやすく高橋氏が新訳したもの。
論語はだいたいどのくらい昔の話なのだろう?と思っていたら、なんと日本の縄文時代くらいのものとのこと。びっくりです。
番組では「四十にして惑わす」という有名なものと、「なんだこれ?」という、読んでも意味不明な論語を紹介していました。これらを解りやすく、高橋氏が訳している。パッと開いたページから読んだり、気になる部分から読んだりと、その時その時に刺さる言葉があるかもと中江さん。いろんな使い方が出来そうとのことです。
■できない相談:森絵都
森絵都がおくる大人のための極上小説集
なんでそんなことにこだわるの?と言われても、人にはさまざま、どうしても譲れないことがある。夫の部屋には絶対に掃除機をかけない女性、エスカレーターを使わないと決めて60年の男性……。誰もがひとつは持っている、そんな日常の小さなこだわり・抵抗を描いた38の短篇。スカッと爽快になったり、クスッと笑えたり、しみじみ共感したりす38resistance。人生って、こんなものから成り立っている。そんな気分になる極上の小説集。 Amazon紹介文より
多面的なちょっとした日常がたくさん出てくるそう。「わかるなー」って話、ちょっと皮肉った話、内容は多岐に渡っているとのこと。なにせ、38話ですからね!
美容室でのひとコマの話など、中江さんの話を聞きながらすでに共感。きっとそのあたりの楽しい話が満載なのでしょう。
ハチの巣の様に積み上げた小説だなぁと、中江さん。寝る前に一話ずつ、クスっと笑って寝るのにもよいそう。この本は気になっていたので、早速リストに入れました。
■あの日を刻むラジオと歩んだ九十年 :武井照子
1945年8月14日、女子アナウンサーだけ集められた部屋で上司にこう告げられた。「明日、日本は負けます。反乱軍がきて『この原稿を読め』などと言われても、抵抗する必要はありません。まず自分の身を最優先に考えなさい」。激動の時代を生きた一人の女性が語る日本の昭和史、平成史。
戦前から戦争を経て、戦後、そして高度経済成長期、平成。家庭と職場を両立させながら、アナウンサーとして、ディレクターとして、女性として、世の中に絶えず問題提起を続けた彼女にしか語れない言葉がある。様々な著名人との出会いやエピソードを交えつつ、ラジオを通して、いま改めて近代日本が歩んできた道を振り返る。戦争経験者が少なくなる中、時代の証言として後世に残したい珠玉のエッセイ。 Amazon紹介文より
元NHKアナウンサー、現在94歳の女性の話です。戦時中にアナウンサーになられたとのこと。バリバリのキャリアウーマンの先輩ですね。アーカイブからの実際の武井さんの音声を番組内で公開。少し雑音が入った音声が時代を感じさせられます。
戦後、戦地から男性が戻って来ると、女性たちは仕事を辞めるよう促されたとか。武井さんも辞表を書き一度退職されたそう。結婚、出産、また再雇用され定年まで。HNKで働く母親第一号だったそうです。女性が働きながら家庭を持つことが難しかった時代。そのあたりのことが書かれているそうです。経験者だからこその重みある言葉がたくさんありそうな一冊です。
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今年初めてのブックレビューのコーナーは、「言葉」がキーポイント。
言葉と読書について最後にお話されていました。
ということで、なんとなく気になっていた本が今回2冊取り上げられていました。こういう番組を見るたびに、読みたいリストがどんどん増えて行く恐怖(笑)さて、今年はこのコーナーで紹介された本を何冊読めるか・・・。