うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】図書室:岸政彦

 

図書室:岸政彦著のレビューです。

 

ちょっと幻想的でもある記憶の断片

 

ますます掴みどころがない作品だわ~と、言いつつも岸さんのこの雰囲気ある小説が好きです。でも、本を読んでレビューを書く身としては、読みながら「これは、レビュー書けないかも・・・」と、あれこれ雑念が入って来てしまうという。

 

案の定、今も書きながら「どうしよう、何書こう」と、まとまらずにいる。

ということで、内容を上手くまとめられそうもないので、アマゾンさんの内容紹介の部分を引用させていただきます(笑)

 

四十年前の冬の日、同い年の少年と二人で、私は世界の終わりに立ち会った。定職も貯金もある。一人暮らしだけど不満はない。ただ、近頃は老いを意識することが多い。そして思い出されるのは、小学生の頃に通った、あの古い公民館の小さな図書室――大阪でつましく暮らす中年女性の半生を描いた、温もりと抒情に満ちた三島賞候補作。社会学者の著者が同じ大阪での人生を綴る書下ろしエッセイを併録。

 

タイトルの「図書室」。この小さな建物で出会った少年との思い出話は、とても裡にこもった印象が残る。なんて言うのかな、水の中に潜った時みたいな感覚とでも言おうか、外の世界からたった二人きりの世界に迷い込んだようなとても不思議な空間と時間の流れ。いや、SF小説じゃないんですよ。

 

あの時のこと、あれは本当にあったことなのだろうか?

あの時一緒に居た人は今どうしているのだろうか?

 

そんな頭の片隅にのこる記憶の断片は、とても幻想的でもあり、つかみどころのない世界として現れる。

 

 

 

後半の「給水塔」は、岸さんの自伝エッセイです。岸さんと言えば大阪。何故、大阪在住になったのか、どんな青春時代を過ごしたか等々、映画を観ているような読み心地のエッセイでした。やはり岸さんの文章って視覚的な感じがします。

 

大阪って言うと、いわゆる繁華街が取り上げられることが多く、その印象ばかりが強く残っているのですが、今回、岸さんは吹田市という住宅街について語っている。ひとコマひとコマ丁寧に描かれた吹田市の様子。土地勘のない人にもどんな場所なのかイメージできてとても良かったです。

 

他にも岸さんの青春時代の話や、奥様の話など、筆者の歩んで来た道のりを知れたのも良かったなぁ。沖縄もそうでしたが、大阪も然り。岸さんの好きな場所に対する熱い想いがジワジワと押し寄せて来るあたりも含め、楽しいエッセイでした。