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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】家族終了:酒井順子

 

 

家族終了:酒井順子著のレビューです。

家族終了

 

家族はいつか終了するもの

 

「家族終了とはなんぞや?」と、恐る恐る読んでみる。

なるほど、酒井さんご自身が痛感したことがこのような言葉になったのだなぁということが数ページ読んでみると解る。

 

自分が生まれ育った家族のことを「生育家族」。結婚などによってつくった家族を「創造家族」と言うそうなのですが、酒井さんは生育家族のメンバー、つまり酒井さんにとってのご両親とお兄様がこの世を去った。ということで、酒井さん、「家族って終わるんだな」と、身を持って感じたとのこと。

 

 

 

生育家族の様々な思い出やあれこれをを語れる者は、自分の海馬にしか存在しなくなった━という箇所を読み、なにかとてもつもなく寂しさを感じてしまいました。

 

「家の存続」はもはや私たち庶民だけでなく、天皇家などでも深刻な問題になっている。誰にでも起こり得る「家族終了」。「墓じまい」なども最近耳にする。そう言われればこれも「家族終了」に関する問題ですね。

 

かなりシリアスな話からスタートした本書ですが、その後は通常通り様々な家族形態というものからの考察が盛りだくさん。特に今回はご自身のご家族のことが結構語られています。ご両親の夫婦形態から、酒井さん自身の同居人の「叔父さん」との関係性まで、一歩踏み込んだプライベートな部分が見え隠れしています。

 

家族は「いて当たり前」ではないことは、年を重ねるごとにわたしも感じています。

そして、家族の形態もこれからもっと多様化していくのだろうなと。「家族終了」は新しい家族形態の始まりなのかもしれないと、ぼんやり考えながら読了です。