アイスの旅: 甲斐みのり著のレビューです。
感想・内容 アイスを求めてどこまでも!
かき氷やパフェならお店によってバリエーションがあるから、いろんな場所へ出かけて食べるというイメージが出来る。でも「アイス」ってなるとどうなのだろう?アイスを求めてわざわざ出かけることなんてするかなぁ・・・・なんて疑問も、本を開いたら一瞬にして消えてしまったほど、顔はほころぶし、楽しさが満載。そうかそうか、そういうアイスもありか!と納得。
例えばみなさんは「ババヘラ・アイス」をご存知でしょうか?国道沿いでおばあさんがパラソルの下、専用のヘラでシャーベット仕立てのアイスをコーンに盛り付ける、秋田の夏の風物詩。黄色とピンクの花びらのようなアイスが可愛らしい一品。
これと似た青森の十和田の「花火アイス」はもっとカラフルで6色とか10色。すごい色だけど、作るところを含めてすごく楽しいアイスです。
のっけから「うぉー食べてみたい」と、アイスに心を奪われつつ、その後もご当地アイスは続く。
最近はこういったご当地アイスも、気の利いたスーパーに売られていることが多くなったので、中には見たことのあるアイスもちらほら。信玄餅アイス(山梨)とか、レモン牛乳アイスのカップ(栃木)なんかは、うちの近所のスーパーでも見かけます。
ホームランバーは子供の時よく見たけど最近見てないなーと思ったけれども今も健在。こちらは昭和35年発売。現在は復刻版としてあるようですね。当たりくじが楽しみなアイスです。
意外な登場が「冷凍みかん」。電車の中で食べるあのみかんです。これは静岡の浜名湖みかんを使っているそうです。あの頭がキーンとする冷凍みかん。生産地までは知らなかった!
みかんのフルーツつながりで、メロンボール。昭和の子どもたちの好きな一品。当初は30円だったらしいです。よく食べたなぁ。こちらは井村屋(三重)のもの。すいかと桃もあるなんて知らなかったわ。桃は是非食べてみたいです。
とにかくアイスの情報がぎっしり詰まっています。アイスの歴史や、脇役のコーンに至るまで、アイスに関することがぎっしり掲載されています。後半の「旅先で出合ったアイス」は、かなりの変わり種アイスが登場。想像していた以上にアイスのバリエーションの広さを実感。自分の足で歩いてみなければ発見できないものばかりだと思いました。
もうそんなにガッツリアイス目当てにお店に足を運ぶなんてことはないだろうけど、どうしても食べたいなって思ったのは、昨年から狙っているヨックモックの「シガールアイスクリーム」。有名なあのシガールにアイス。想像しただけでもう美味しい(笑)なんでも構想に20年かけたそう。これは絶対食べます!
あとは銀の器の中にお上品に盛られたバニラアイス。資生堂パーラーで是非食してみたいのです。メニューには載ってないけれもチョコレートアイスクリームも単品で注文可能だそうです。ここは雰囲気も含めて一度は抑えておきたいなと思っています。
ということで、甲斐みのりさんの本は写真も綺麗だし、本当に見て、読んで楽しい一冊です。世の中、まだまだ知らないアイスがいっぱい!あなたの知らないアイスが全国で待っている!急いで!(笑)
甲斐みのりについて
文筆家。静岡生まれ。旅、散歩、お菓子、手みやげ、クラシックホテルや建築などを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。和歌山県田辺市や宮崎県川南町など、観光案内冊子も手がける(Amazonより)