明治ガールズ:藤井清美著のレビューです。
「わたし、富岡製糸場に参ろうと思います」という少女の一言からはじまる世界
富岡製糸場で働いた信州松代出身の少女たちの日常を描いた小説です。
・・・とは知らずに借りて来た本だったので、途中で「あれ?これどこかで聞いた話だ!」と。そうそう、「富岡日記」です。
富岡につくられた官営富岡製糸場へ伝習工女として向かう15人の少女たち。
故郷を離れるシーンが印象的でしたが、今回もここでピンと来たという・・・(笑)
富岡日記はもう少し暗めなトーンだったと記憶していますが、こちらは少女たちの幼さや瑞々しい様子が盛り込まれ、たった1年と数か月の出来事であるにも関わらず、彼女たちが一回り大きく成長した姿が窺える。
色々な思いをもって富岡に出立した彼女たち。
集団生活での人間関係や他県からやって来た少女たちとの確執等、思い悩むことも多い。
個人的には主人公の英が自分で紡いだ糸が、フランスでどんなものになって売られるのか知った時の感動するシーンが好きです。
やがて故郷の製糸工場で教えるという使命がある少女たち。
ラストの英の選択は最後の最後までドキドキさせられた。
さっぱりした読み心地でありながら、富岡製糸場のはじまった当初の様子が解りやすくイメージでき、読み物として入りやすかったです。
10代の少女たちの未来に力強さと明るさを感じられ清々しい気分で読了です。